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この1週間で、学会発表をする機会が2回ありました。

1つ目は9月17日に所属先である明治大学で開かれた’The Int’l Conference of Economic Theory and Policy’で、去る6月に神戸大学で開催された日本比較政治学会研究大会での発表内容(1980年代の韓国農村政策の分析)を、英語に直した上で報告。

次いで一昨日9月22日、島根県立大学で開かれた「北東アジア学会第19回学術研究大会」にて、今度は1990年代の韓国農村政策についての分析内容を日本語で報告。

元々人前で話をするのが好きな性格なので、学会に出ることに苦手意識があった訳ではないのですが、自分がこの業界では「超」がつくほどの若手に分類されていることもあって、内外のベテラン研究者が集まる学会への出席というものには、少なからぬ緊張感が伴います。ただ、このところになって、徐々にその緊張感との付き合い方が見えてきた、というのでしょうか、地方の学会へ自分を送り出す時の指導教授の「楽しんできて下さい」という言葉に応じられるようになってきました。

ちなみに、一昨日の学会からの帰り、広島に立ち寄り、久しぶりに平和記念公園と厳島神社を訪れたのですが…

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厳島神社の鹿がかわいい!!

市街地に住みつき、完全に人間慣れしている一方、地元自治体の見解としては「餌付けされるべきではない野生動物」扱いになっているなど、同地の鹿を巡っては深刻な問題も出ているとのことですが、

純然たる観光客にとっては、厳島のマスコットでもある鹿は、やはりかわいいものです。

さてさて、10月6日に開催される即売会「タトホン8」のブース配置が決まりました。

私、高森のブースはA-3aです。

今回のイベントでは、タイのインドシナ難民を扱った新作『近しき異邦人』を初頒布するほか、民主化期のフィリピン社会を描いた『共和国の貴族』や、インドネシア民主化を取り上げた『赤道直下の海峡』なども頒布いたします。

多くの方のお越しを、お待ちしております。
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2013.09.24 / Top↑
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9月8日から13日まで、次回作の取材としてUAE(アラブ首長国連邦)およびオマーンに行っておりました。東南アジアを含む東アジア地域の政治を専攻している私にとって、専門から外れる中東・西アジア地域の訪問はこれが初めて。しかし、十代半ばで韓国に惹きつけられるまでは中東政治にも興味があり、また学部の頃、イスラム社会に関する本を30冊ほど読んだ者としては、30歳目前、海外旅行26回目にしてやっとアラビア半島の土を踏んだ、という感があります。

今回の旅行では、UAEを構成する7首長国のうち、アブダビ、ドバイ、シャルジャの3首長国を訪れ、またUAEに隣接するオマーンへも足を運びました。

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隣接して一つの都市圏をなしているドバイとシャルジャの間を除くと、UAE各首長国間、およびUAE・オマーン国境はこうして砂漠がひたすら続きます。上の2つの写真のうち、1枚目はUAE領内で、2枚目はオマーン領内で撮影したもの。平地、山岳地帯という違いはあれど、延々と砂漠が広がっている点は両国とも同じ。

私の小説は、国家や民族・部族の「アイデンティティ」を問う作品が多いのですが、こうした光景をずっと見ていると、当地の人々にとってアイデンティティの拠り所が「アラビア半島内のどの部族に属しているか」であって、「どの国家の国籍を持っているか」は二次的である、という話も納得がいきます。

さて、今回訪れた国のうちUAEは、北海道ほどの面積に500万人が住んでいます。しかし、このUAE在住者500万人のうち、UAEナショナルはおよそ100万人。即ち、UAE人口の約80%は外国人労働者ということになります。特にドバイ市内にいると、UAEナショナルと思しき人は「珍しい」と思えるほど少数派。多数派を成すインドやパキスタン、中国系の労働者の人々と英語で話していると、当地の公用語がアラビア語なのを忘れかけるほど。

他方で、UAE各首長国やオマーンは、イスラムを社会の規範とし、アラブの部族社会をベースとする絶対君主国でもあります。当然、西洋的な民主主義体制とは程遠い政治体制にあり、UAEの選挙は連邦の諮問会議の半数を選挙するというものに過ぎません。そしてオマーンに至っては、国政選挙が全く行われていません。「今のUAEとムバラク時代のエジプト、西洋の民主主義に近いのはどちらか?」と問われれば、少なからぬ人が後者を挙げるでしょう。

西洋的「民主主義」とは無縁な、砂漠の遊牧民さながらの部族秩序に基づく社会。それでいて、多くの外国人が出入りし、定住する地域。近年の、いわゆる「アラブの春」によっても、アラビア半島の君主制諸国はそうした体制を崩していません。

私たち日本人から見ると、一見かけ離れた存在のように思え、また理解困難なようにも感じられてしまうほど異質なアラビア半島の社会。

しかし、私たち日本人が日本という「国籍」に、或いは「国家」に対して抱いている固定観念の枠を外してみると…彼の地に住む人々の感覚は、実はイスラムやアラブ世界を専門としない者にもある程度理解できるようになってきます。

来年夏までに書き上げる予定の次回作は、そうして、日本からは物理的・精神的に距離のある中東・アラブ世界を、アイデンティティの視点から紐解く長編小説となります。

ご期待いただけますと、幸いです。

<おまけ>

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ドバイ市内のマクドナルドで食べたアラブ地域限定メニュー「マック・アラビア」。チキンのパテを、パンではなくチャパティのような生地で包んだものです。デーツやアラビック・コーヒーもさることながら、こちらもなかなか美味な「土地の味」でした。アラブ地域へ行かれる予定のある方は、是非お試しあれ。
2013.09.14 / Top↑