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先週の水曜日、8月20日から韓国に来ております。

高麗大への留学を除いて16回目となる今回の訪韓の目的は、国立図書館などで研究資料を収集する傍ら、韓国における帰農・帰村の実情について、各地の自治体の担当者にインタビューを行うというもの。

ここ2年ほど、私は韓国の農工間格差、および農業・農村政策(産業政策としての農業政策)を研究しており、ジャーナルに掲載している論文もそれに関連したテーマが主となっています。

それに関連して、韓国の農業・農村に関わる新聞や雑誌を読むことも非常に多いのですが、それらを読んでいると、「帰農・帰村(귀농/귀촌)」という言葉を頻繁に目にします。

日本で言うUターンやJターン、それにIターンのことですが、目下、韓国ではこの帰農・帰村が一種のブームになっています。2002年に韓国国内で都市から農村へ移住した世帯が700にも満たなかったのに対し、その10年後、2012年に農村へ移住した都市住民は27,000世帯という急増ぶり。都市の過密・農村の過疎という全国的傾向を根本から変えるほどではないものの、その増加の著しさから、メディアの注目を浴びることも少なくない現象です。

現在私がやっている作業は、1960年代以降の韓国農政の歴史的変遷を踏まえつつ、この帰農の急増を社会科学的分析にかけるというもの。その一環として、全羅南道羅州市(農村)、ソウル特別市(首都圏)、および大田広域市(地方大規模都市)の公的機関を訪問し、農業技術・農業教育の実務担当者にインタビューを行っています。

今日までに、羅州とソウルの農業技術センターを訪問、それぞれ約1時間のインタビューに応じて頂いたのですが、

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羅州では特産品の梨を頂き、

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ソウルでは昼食を御馳走になるなど、どちらでも親切すぎるほどの対応をして頂いています。

どちらの自治体も、近年の新しい現象である帰農については手探りなところがあるようで、インタビューに前後して「日本では農村移住への支援はどうなっているのか?」と訊かれることもありました。

さて、韓国で急増している都市住民の農村への移住。少なからぬ農村自治体が、農業の後継者・新たな担い手になってくれるとして、(幾分か試行錯誤しつつも)彼らに対して期待しているようです。

羅州でインタビューをした折、先方から「ソウルに出掛けていき、『私たちの土地に移住して下さい』と呼び込みをかけることもある」と聞いていたのですが、本日、その呼び込みの現場に足を運んできました。

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ソウルの江南(カンナム)地区にある農林部(=農水省)系の展示場・ATセンターで22日から今日まで開かれていた「2014帰農・帰村博覧会」。農業専門のケーブルテレビ局・Aチャンネルと全国紙・東亜日報が主催した帰農希望者向けのイベントです。

形態としては、日本で言う就活生向けの合同説明会などと同じ要領で、各自治体がブースを出し、「是非私たちの村へ移住し、就農して下さい」と呼びかけ、また帰農相談に応じるというもの。

ただ、日本の就職合同説明会と異なり、力関係としては圧倒的に売り手(帰農予定者)優位なので、各自治体は帰農予定者を呼び込もうと非常に熱心で、地元農産物の試食を提供するブースや、子連れで来場する人々のために田舎風の木製遊具を置いているブースもありました。

ソウルの新市街地である江南で展開される、農村自治体による移住者の招致。帰農・帰村現象の一端を目にする、大変興味深い機会となりました。

明日以降も農業教育の現場視察などをこなし、29日に日本に帰国する予定です。
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2014.08.24 / Top↑
先週の週末、立山黒部アルペンルートを旅行してまいりました。

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真夏日の続く東京に対し、標高2400メートルの室堂駅周辺は雪が残るほどの涼しさ。海外からも大勢のお客さんが来るだけのことはある、大変快適な避暑地でした。

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同ルートは、日本一高い駅・室堂駅を抱えているのみならず、日本で唯一、無軌条電車(トロリーバス)に乗れる場所でもあります。無軌条電車を多く抱える中国に何度か行ったことがあるため、北京や上海の市内を走る無軌条電車には既に乗っていたものの、日本国内の路線に乗車した経験はこれまでありませんでした。そんなこともあり、この度は日本で初めて無軌条電車に乗り、また日本一高い駅にある立ち食いそばでそばを食べるなど、鉄道ファンとしても大変楽しめた休暇と相成りました。

さて、過日、来月14日に開かれる文学フリマ大阪でのブース配置が決まりました。私・高森純一郎のブースは歴史・古典セクションのC-40。皆様のお越しをお待ちしております。

Webカタログ上304サークルが参加する予定の今回の文フリで、歴史・古典セクションにブースを構えるのは私を含めて4サークルほど。去る5月の第十八回文学フリマで歴史・古典ジャンルに配置されたのが616サークル中9サークル、昨年11月の第十七回文学フリマでのそれが639サークル中5サークルなので、今回が特に少ないという訳ではないのですが、実質的には歴史小説を書いているものの、ジャンル分けで歴史・古典以外を選択されるサークルさんが多いのも事実。頒布物のごく一部が歴史小説だというのであれば、そのような選択にもなるのでしょう。

ジャンル分けというのはあくまで目安なので、大したことない問題なのですが、ただ、これまで歴史・古典ジャンルで出店されてきた他サークルさんや、同ジャンルへ立ち寄られた方々を見ていると、「歴史・古典」の間にある「・(なかぐろ)」を‘and’と読み取るのか、或いは私のように‘or’と読み取るのか、判断が分かれるようです。この「・」を‘and’と読み取ってしまうと、歴史小説を標榜する際の、あるいは歴史小説を手に取ろうとする際のハードルは高くなるかもしれません。

学術研究の分野で食べていこうとすると、こうした「ジャンル分け」は結構重要な問題になってきます。私の研究テーマは学部の頃から「東アジア、とりわけ韓国の開発政策」で一貫しているのですが、このテーマは、「政策」に力点を置けば政治学になり、「開発」に力点を置けば経済学になり、「韓国」に力点を置けば学際的地域研究になります。加えて、この2年あまり、私は韓国の農業・農村開発を取り扱っているのですが、これに深く関わる学問・農業経済学は、そもそも理系か文系かで判断が分かれるという性質を持っています。例えば、コーネル大学で農業経済学の博士号を取得した元台湾総統・李登輝は、産業政策としての農業政策に通じていると評価され、政界入りしているのですが、私の所属先・明治大学では、農業経済学の書籍は文系キャンパスである駿河台校舎の図書館ではなく、理系キャンパスである生田校舎の図書館に集約され、所蔵されています(なので、私は駿河台校舎に研究室があるにも拘らず、週の半分ぐらいは生田校舎にいます)。

このように、学術研究は「○○学」という枠にあてはめにくいケースが少なくないのですが、どの専攻分野を標榜するかで、進学先・就職先も、入る学会も(そしてそこで形成される人脈も)、更には科研費など助成金の種類も変わってくるというのが学問の現実。その意味で研究者は、今自分のやっているテーマが巨視的な観点から見てどのような性質を持っているのか、そしてどういったアプローチから社会に貢献しうるものなのか、常に見失わないよう心がけていなければなりません。私の場合は、学部=政治経済学科、修士=政治学専攻、博士(韓国留学中)=比較政治専攻、博士(日本帰国後)=政治学専攻と、一貫して政治学に立脚し、「より効率的な産業政策・開発政策の基礎」を模索するというアプローチから研究に取り組んでいます。

それでも、膨大な資料を読み込むうち、いつの間にかそうした政策志向のアプローチから離れ、文化人類学のような学会発表をしていたということが無きにしも非ず。

このように、アカデミズムの世界でさえジャンル分けというのは曖昧なことがあります。文学作品も同様です。更に言えば、文学フリマで出される作品というのは同人作品=既存の固定観念からは自由な作品な訳ですから、尚のこと、ジャンル分けに固執する必要性がありません。

上述のように、来月の大阪文学フリマで私以外に「歴史・古典」ジャンルを選択されたサークルさんは3つ。見たところ、その中には、まさに「歴史and古典」といえる作品を出される方もいらっしゃるようであり、また他方で「歴史or古典」というスタンスのサークルさんもいらっしゃいます。

多くの方が「歴史・古典」というジャンル分けに過度に拘ることなく、「歴史物あり、古典物あり、その両者に跨るものあり」といった気軽さで、私やその左右に並ぶブースへと足を運んで頂ければと思います。
2014.08.19 / Top↑
明日から、11月24日開催の第十九回文学フリマの出店申込が始まります。私・高森は、今回も通常通り出店を申し込む予定です。

さて、少し前の話になりますが、去る6月末にCiNiiに登録されている私の論文の1つがオープンアクセスとなりました。

「1970年代韓国農村部における相互金融の変質 : セマウル運動期韓国農村政策の文脈において」『北東アジア地域研究』第19号、pp. 21-34
http://ci.nii.ac.jp/naid/110009630593

論文の掲載されたジャーナルが刊行されたのは昨年6月なのですが、このジャーナルは刊行から1年以上経過した掲載論文のみをウェブ上で公開するというポリシーのため、今回の告知(?)となりました。

なお、同じく今年6月末に刊行された『北東アジア地域研究』の第20号にも、私の論文が掲載されています。

「1990年代韓国における農業政策の転換:親環境農業の農民間関係に対する影響」『北東アジア地域研究』第20号、pp. 1-16

こちらの論文も、ウェブでの公開は1年後となります…。

今夏、私は大学から海外調査のための助成金を頂いており、それを受けて今月20日から29日まで、韓国で農業への就労に関するインタビュー調査等を行う予定となっております。この調査の結果を部分的に反映させるものとして、9月に学会発表を2本を行う予定となっており、目下、その準備を進めているところです。

http://www.kisc.meiji.ac.jp/~confyagi/September2014.html
1つ目が、9月13日から15日まで明治大学で開かれるInternational Conference on New Thinking in Economic Theory and Policy。上記ウェブサイトのparticipantsの欄には、私の名前も載っています。今のところ、私は13日に発表枠を頂き、セッションに参加した後、文学フリマ大阪に出店するべく、同日夕方に羽田を出る飛行機で伊丹へ向かう予定です。

http://anears.net/
2つ目が、9月20日から21日まで静岡県三島市の日本大学国際関係学部で開かれる北東アジア学会第20回学術研究大会。こちらの学会は修士課程の頃からお世話になっている学会で、発表枠を頂くのもかれこれ3回目です。

これら本業の一方で、勿論小説の執筆も進めております。去る2月のカンボジア取材を踏まえて書いている新作は、現在、13万字弱が書けたところ。全体の半分もできていない計算になるのですが、いずれ完成が近づいたところで、改めてご案内したいと思います。

ご記憶頂けますと幸いです。
2014.08.01 / Top↑