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思想脳労 『帰ってきたウルトラマン解説本』
http://s2-works.jugem.jp/

タイトルそのまま、『帰ってきたウルトラマン』の全エピソードのあらすじ、解説、および解説者のコメントを載せた本です。

メロンブックスでもダウンロード販売されていますね。
http://www.melonbooks.com/index.php?main_page=product_info&products_id=IT0000173698

私は1984年生まれですが、この前後に日本で生まれた世代は、小学生の時期が平成ゴジラシリーズと平成ガメラ三部作に象徴される第3次特撮ブームに重なっているので、特撮好きの比率が高いという特徴があります。

私もその例外ではなく…。同年代の人間と酒を飲んでいると、この歳でも尚、特撮の話題で盛り上がってしまうことが多々あり…。

私の場合、保育園児の時に『A』と『タロウ』が再放送され、小学生の時に『グレート』が地上波初放送されていたため、『帰ってきた~』のテレビ放送を見ていたわけではないのですが、子供の頃に見た『帰ってきた~』の第33話「怪獣使いと少年」の記憶があまりにも強烈だったこともあり、つい買ってしまいました。

ちなみに思想脳労さんのブースで本書を発見、購入した際、売り子の人に「33話に出てくる魚怪獣ムルチのエピソードが忘れられないんですよ」と言ったところ、「ええ、皆さんそうおっしゃいます」とのご返事をいただきました…。


第33話「怪獣使いと少年」。

魚怪獣ムルチに襲われ、命の危険に晒されていた少年を、メイツ星人という宇宙人が助けるところから始まるエピソードです。

科学調査のために地球にやってきたメイツ星人は人類に対して友好的で、少年を襲っていた怪獣を封印してくれていたのですが、排外意識に駆られ、パニックになった人間たちによって、「宇宙人である」というだけの理由で殺されてしまいます。

メイツ星人が人間に殺されてしまった結果、この宇宙人が怪獣ムルチにかけていた封印も解かれてしまい…。


『ウルトラマン』の「棲星怪獣ジャミラ」や『ウルトラマンタロウ』の「蔦怪獣バサラ」と並び、ウルトラシリーズの中でも特に社会的メッセージ性が強い「巨大魚怪獣ムルチ」ですが、本書はその背景や含意について、冴えた解説をしています。

なお、本書では特に触れられていませんが、このエピソードの特撮部分は、ウルトラマンと怪獣の戦闘開始からスペシウム光線発動直前まで、1分以上を長回し・ワンカットで撮っています。つまりこのエピソードは、激しい動きを伴う戦闘場面を、緊迫感を切らすことなくワンカットで撮影するという、映像関係を学ばれている方にとっても参考となる要素を含んでいるエピソードでもあります。是非、ご覧あれ。

余談ですが、今回の文フリでお隣のブースにいた龍の髭さんも特撮に大変お詳しい方でした。イベントの後、龍の髭さんとは会場最寄駅のなかもずから天王寺まで地下鉄で一緒だったので、乗車中、ギャレス・エドワーズ版『ゴジラ』の感想などを話し合っていたのですが、あの会話は傍から見たら、イベント帰りに「歴史小説」のサークル同士が交わすには到底聞こえなかったでしょうね(笑)。
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2014.09.27 / Top↑
去る9月20日・21日の両日、本年3回目の学会発表を行うため、静岡県三島市で開かれた北東アジア学会の第20回記念学術研究大会に出席してきました。

この学会の年次大会で報告枠を頂くのは、福井市で開かれた一昨年、および島根県浜田市で開かれた昨年に続き、3年連続。21日午後に枠を頂いた私は、韓国で急増している都市住民の農村移住について、去る8月に韓国各地で行ったインタビューなどの成果を踏まえつつ研究発表を行いました。

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学会終了後は、少し足を延ばして修善寺へ。修善寺温泉にある外湯「筥湯(はこゆ)」に浸かった上で、東京へ帰りました。

さて、以下では先日の文学フリマ大阪で購入した本のうち、こちらの作品の感想を綴っていきます。


神風零『桜花 六 硫黄島編』大和雪原:http://yamatoyukihara.web.fc2.com/

以前にも第一編から第五編までの感想を綴った『桜花』(過去の感想はこちら→http://takamorijunichiro.blog.fc2.com/blog-entry-92.html)。

今作は硫黄島を部隊とし、第五編までの随所で超人的、或いは極度に人間離れした存在として描かれてきた神谷の最期を描きます。

硫黄島が第二次大戦全体を通して見ても屈指の激戦地であったことは、今更言うまでもないでしょう。摺鉢山の形が変わるほどの爆弾が雨あられと降り注ぎ、日米双方に夥しい数の戦死者を出させたこの島は、過去70年近くに渡り、様々な場面で偶像化され、作品化されてきました。

ワシントンD.C.郊外、ヴァージニア州に広がるアーリントン国立墓地に行けば、硫黄島に星条旗を立てる兵士たちを再現した巨大なモニュメントを見ることができます。

10年ほど前、学部3年生の冬に初めてワシントンを訪れた私は、近くの時計台が定時を知らせるAnchors Aweighを奏でる中、このモニュメントの前に立ち、ボランティアガイドの方に「アメリカにとってのIwojima(現在の正式名称は「いおうとう」ですが、今でも「いおうじま/イウォジマ」と呼ぶ方がしっくりくるのは日米共通ですね)」について解説をして頂いた記憶があります。

戦勝国であるアメリカは、当然硫黄島を攻略するべく兵を繰り出し、多大な犠牲を払った末それに成功した側。かの国の政府はこの島について語る際、そこに特別な政治的意味合いを込めてきます。

他方、アメリカが硫黄島の攻略に成功したということは、日本軍兵士の側から見れば、硫黄島に米軍を上陸させまいと勇敢に戦ったものの、それを果たすことができなかったということ。島を守備しきろうにも叶わず、せめて一人でも多くの敵を殺すべく戦い抜き、殉死した兵士たちがいるということ。

本作は、政治的、歴史的、或いは社会経済文化的な『色付け』の類いを最大限排除し、これら殉死した兵士たちの姿を描いています。

やもすれば、兵士たちの悲惨の境遇を過剰に描写することで「戦争の悲惨さ」を演出したり、或いは兵士たちの勇敢さを強調することで読み手のエスノ・セントリズムに火をつけようとしたりと、何かと『色付け』のされやすい題材ですが、作者はそうした色付けを回避しており、純然たる「軍人小説」というスタンスを維持したまま、物語を最後まで綴りきっています。

生々しい戦場の姿を、しかし政治的な『色』に染まり切ることを回避しつつ描いている良作です。
2014.09.23 / Top↑
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9月15日から18日まで、クアラルンプールに行っておりました。

滞在中の9月16日は、1963年にマラヤ連邦がサバ、サラワクおよびシンガポールと合併してマレーシア連邦へと改称した記念日。クアラルンプールにあるムルデカ・スクエア(独立広場)では、国内外のユース・マーチング・バンドによるパレードが行われました。

さて、今回からしばらく、先日の文学フリマ大阪で購入した本の感想を記していきたいと思います。

春秋梅菊・龍の髭『中国短編小説集 三 碧空尽』

こちらのサークルさんについては、以前、別作品のレビューをStray Catさんのウェブサイトに投稿したことがあります。

http://text-revolutions.com/review/?p=1113#more-1113

去る5月の文フリに、過日の大阪文フリと、2回連続で私と隣り合わせのブースになった龍の髭さん。大学では中国文学を専攻されていたという方で、古代から近代まで、さまざまな時代の中国を舞台とした小説を書いておられる方です。

今回購入した短編集第3弾に収録されている「祖と、故と」は、中華民国期の北平(現・北京)で書店を経営していた日本人を主人公とした作品。彼の視点から、日中戦争下、日中の狭間で自らのアイデンティティの落としどころに苦慮していた人々の姿が描かれています。

つい先日、波乱に満ちた生涯を閉じられた李香蘭こと山口淑子さんも描かれています。

私は東アジア政治の研究をしているということもあり、海外に出向くことも多い立場にありますが、幸いというべきか、自分のナショナリティやエスニシティ、アイデンティティについて偽りを立てる状況に追い込まれたことはありません。

「自分は何者か?どの国の人間であり、どの民族の血を引き継いでいるのか?」といった問いは、必ずしも明瞭な答えの用意されているものではありません。それでも大概の人は、たとえ他者から吹き込まれたり鼓舞されたものであったとしても、自分のアイデンティティの「落としどころ」について、相応の回答を持ち合わせているものです。

しかし、その回答を正直に口にすることが許されない状況は、少し目を凝らせば世界のあちらこちらに(或いは現代の日本にも)存在しています。

本作「祖と、故と」は、民国期の大陸にもそうした場面が数多く存在していたという現実を、テンポの良いストーリー展開に載せて描いた良作です。


なお、大変ありがたいことに、龍の髭さんは過日の大阪文フリで頒布した拙作『半島と海峡の狭間で』の丁寧なご感想をStray Catさんのサイトに投稿してくださっています。御礼申し上げるとともに、当該ご感想のリンクを以下に張り付けさせていただきます。

http://text-revolutions.com/review/?p=1271#more-1271
2014.09.20 / Top↑
大阪の堺で開催された第二回文学フリマ大阪が、無事に終了しました。

私・高森のブースは、おかげさまで完売となりました。当ブースにいらしてくださった方々に御礼申し上げます。

来年9月20日には、第三回文学フリマ大阪も開催されるほか、それ以外の都市で文学フリマを開こうという動きもあるとのこと。

今後各地で開かれる文学フリマが盛会となることを願っています。

なお、今回のイベントでも、他サークルさんの作品をいくつか購入しました。

明日夜よりマレーシアに行ってしまうため、記事をアップロードするのは数日後ということになりますが、後日、これら作品の感想をブログに書いていきたいと思います。

まずは、取り急ぎ御礼まで。
2014.09.14 / Top↑
9月14日に開催される第二回文学フリマ大阪での頒布作品の御案内です。

私・高森はブース番号C-40で以下の3作品を頒布します。


『賢人支配の砂漠』(2014年作)…頒布価格:300円
東京の大学で教鞭をとっていた在日韓国人三世の経済学者・鄭太植は、『在日』をめぐる左右両翼の論争に嫌気がさす中、中東・ドバイの大学から赴任のオファーを受ける。日本国内に留まることへの疲労感もあってそのオファーに応じた太植だったが、遊牧民の伝統を残すアラビア半島の部族社会は、やがて彼に「支配」をめぐる新たな考えを抱かせるようになる。
昨今の「アラブの春」にもかかわらず、絶対君主制を維持するアラビア半島諸国。その内面に目を向けることで、支配・統治のあり方の多様性を描き出します。

『半島と海峡の狭間で』(2007年作/2014年改訂)…頒布価格:300円
1970年代初頭、韓国大使館員として中華民国・台北に赴任したキム・ギョンナムは、当地で日米両政府が大陸・中華人民共和国に接近し、台湾の国際的孤立が高まるという緊迫した状況に直面する。国民党一党独裁下の台湾と、軍事政権下の韓国。反共を国是とする両体制を行き来する彼は、しかし同じ資本主義陣営に属するはずの日米が大陸の共産党政権へと接近していく中、自国の、そして赴任先の政治体制に少なからぬ疑問を抱く。やがてその疑問は、彼の外交官としての立場を危ういものにしていき…。
冷戦体制下の1970年代、日米両国と同じ西側陣営に所属していながら、大陸中国との修交という選択肢をとることのできなかった反共分断国家・韓国の視点を通じ、東西両陣営の対立がアジアに残した痕跡を描写した作品です。

『赤道直下の海峡』(2009年作/2013年改訂)…頒布価格:300円
2008年、長期在外研究のためにシンガポールへやってきた若手政治学者・高木は、現地の友人を通じて旧知のインドネシア人女性から連絡を受ける。彼女との再会を通じて高木は、かつて自分が豊かな一党独裁国家・シンガポールに留学しつつ、その南方にある巨大な発展途上国・インドネシアの民主化に少なからず関わったことを思い出した…。
独裁者を追放しようとする無名の闘士たちの姿を物語にしつつ、彼らの力だけではどうにもならないマレー世界のエスニシティをめぐる現実をも描きました。


新作の頒布はありませんが、『半島と海峡の狭間で』は、3年前の第十三回文学フリマで頒布した旧版から内容が大幅に書き換えられており、限りなく新作に近い形となっています。原稿を改める際、旧版のデータ原稿を開いて修正を加えていくという作業方式ではなく、出力した旧版原稿を傍らに置きつつ、新版データ原稿全文を手作業で打ち直すという方式をとったので、revise(改訂)というよりもremake(作り直し)と言った方がいいかもしれません。

それ以外の2作、『賢人支配の砂漠』と『赤道直下の海峡』は、いずれも過去の文学フリマや福岡ポエイチで頒布したものと同一内容になります。ただ、いずれも昨年4月の大阪での文学フリマでは頒布していなかった作品ですので、特に開催地周辺からお越しの方は、本ブースにお立ち寄りの際、是非お手に取って頂ければと思います。

なお、去る2月にカンボジアで現地取材を行い、3月より執筆を始めた新作については、現在19万字弱が書けた段階です。最終的な文字数が、以前頒布した拙作『帰るべき国』とほぼ同等の40-50万字程度になることを想定していますので、来年春以降の頒布開始を予定しております。まだ先の話ではありますが、御期待頂けますと幸いです。
2014.09.07 / Top↑
6月の福岡ポエイチで私のブースの売り子をしてくれた友人が、一昨日結婚式を挙げました。

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私の役目は、二次会の司会。祝いの席なので、紅白のネクタイを締めております。

司会として盛り上げ役を果たせたかどうか些か心許ないところもありますが、当日の一連の行事が大きなトラブルもなく無事に終わったことは幸いでした。

さて、9月14日開催の第二回文学フリマ大阪ですが、今のところ、以下の3作品の頒布を予定しております。

『賢人支配の砂漠』…ドバイショック、およびアラブの春に前後する時期、大学教員としてUAEに赴任した在日韓国人の視点から、「外国人が人口の半数以上を占める社会」におけるデモクラシーを捉えた作品。

『半島と海峡の狭間で/改訂版』…1970年代、日米両政府が大陸・中華人民共和国との外交関係樹立に向けて動く中、反共国家・韓国の外交官として台北に赴いた男の視点から中華民国を、そして台湾を捉えた作品。

『赤道直下の海峡/改訂版』…1990年代後半、シンガポールに留学した日本人青年が隣国・インドネシアの少女と知り合ったことを契機に、東南アジアの大国の民主化に関わっていく過程を捉えた作品。

頒布価格は、いずれも300円です。

ただ、現在このイベントの前後に予定されている学会発表や、先週金曜日まで韓国で行っていた研究調査の報告・清算を抱えている状況ですので、14日のイベント用の案内チラシを作成していない状況です。

準備が整った段階で改めてご案内しますので、それまでお待ち頂けますと幸いです。
2014.09.01 / Top↑