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先日、9月に開催される文学フリマ岩手の出店当選通知を受け取り、出店料の納付手続きをいたしました。

この文学フリマ岩手を含め、現時点で出店料納付済みであり、私の出店が確定している即売会は以下の通りです。

6月5日 COMIC CITY 福岡 40
7月23日 第一回文学フリマ札幌
9月4日 第一回文学フリマ岩手
11月23日 第二十三回文学フリマ東京

なお、過去に参加実績のある6月の福岡ポエイチと10月のText-Revolutionsは、いずれも直後に学会発表を控えていることから、本年開催分については出店いたしません。何卒ご了承願います。

ということで、1週間後の6月5日、福岡ドームで開催される即売会・COMIC CITY 福岡 40に出店します。私にとっては初めてとなる法人による主催、かつ文芸作品を主流としない即売会への出店となります。

出店作品は、先日の第二十二回文学フリマ東京と同じ以下の3作品です。

『大陸と海洋の交差路』(2016年作)
頒布価格:500円 (新作)
那覇を訪れた香港の文化人類学者・唐瑞延は、これまで自身の沖縄での研究活動を支えてきてくれた台湾出身の恩人・安麗生の職場を訪ねる。台湾政府の意向を受け、長年台湾と沖縄の交流事業に携わってきた麗生は、定年を迎えたこともあり、所属する政府系機関を退職することになっていた。
長年に渡る学恩に礼を言い、また麗生の日台交流への尽力をねぎらう瑞延。そんな彼に麗生は、「これは回顧録にも書かなかったことなのだけれど…」と、ある秘密を打ち明けた。曰く、台湾人として沖縄との民間交流を深めてきたはずの彼女は、実は沖縄本島で、沖縄県民として生まれたのだという。なぜ、沖縄県民として生まれた人物が、台湾人になったのか。その疑問を抱いた瑞延に、麗生は「台湾疎開のことは、御存知かしら?」と問いかける…。
戦中から戦後にかけての沖縄を、台湾の視点から描いた作品です。

『賢人支配の砂漠』(2014年作)
頒布価格:300円
東京の大学で教鞭をとっていた在日韓国人三世の経済学者・鄭太植は、『在日』をめぐる左右両翼の論争に嫌気がさす中、中東・ドバイの大学から赴任のオファーを受ける。日本国内に留まることへの疲労感もあってそのオファーに応じた太植だったが、遊牧民の伝統を残すアラビア半島の部族社会は、やがて彼に「支配」をめぐる新たな考えを抱かせるようになる。
昨今の「アラブの春」にもかかわらず、絶対君主制を維持するアラビア半島諸国。その内面に目を向けることで、支配・統治のあり方の多様性を描き出します。


『半島と海峡の狭間で』(2007年作/2014年改訂)
頒布価格:300円
1970年代初頭、韓国大使館員として中華民国・台北に赴任したキム・ギョンナムは、当地で日米両政府が大陸・中華人民共和国に接近し、台湾の国際的孤立が高まるという緊迫した状況に直面する。国民党一党独裁下の台湾と、軍事政権下の韓国。反共を国是とする両体制を行き来する彼は、しかし同じ資本主義陣営に属するはずの日米が大陸の共産党政権へと接近していく中、自国の、そして赴任先の政治体制に少なからぬ疑問を抱く。やがてその疑問は、彼の外交官としての立場を危ういものにしていき…。
冷戦体制下の1970年代、日米両国と同じ西側陣営に所属していながら、大陸中国との修交という選択肢をとることのできなかった反共分断国家・韓国の視点を通じ、東西両陣営の対立がアジアに残した痕跡を描写した作品です。

多くの方のお越しをお待ちしております。
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2016.05.29 / Top↑
西新宿にある新国立劇場でワーグナー原作のオペラ『ローエングリン』を観てきました。

新国立劇場では2週間半前にもバレエ『ドン・キホーテ』を観たのですが、いずれの公演も、同劇場オペラパレス(約1800席)に42席のみ設定されているZ席での鑑賞となりました。

普通、コンサートやお芝居の客席はS席を最上級とし、以下、舞台から遠ざかるにつれてA席、B席、C席…となっていくのはご存知の通り。そんな中でのZ席。つまりは、見切れ席です。

元々新国立劇場は、バレエ、オペラともにチケット価格が日本での公演にしては廉価に設定されているのですが(オペラパレスで行うバレエの場合、S席で10000円、D席で3240円が基本。オペラだとS席で27000円、D席で5400円が基本。ちなみに、学生は当日残席分が50%offになります)、その中でもZ席は、バレエ、オペラ共通で1620円と、映画よりも安い設定。

無論、安さには相応の理由があり、舞台が観づらくなるのですが、そもそもこの新国立オペラパレス、音響と眺望を重視し、ヨーロッパであれば2000席以上配置している空間に1800席しか配置していないので、Z席でも見切れる部分はごく僅か。ご参考までに、

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『ドン・キホーテ』の時の座席からの眺望がこんな具合で、

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今日の『ローエングリン』での座席からの眺望がこんな具合。

当然、私のような「目も耳も肥えていないが舞台芸術を楽しみたい」という向きには大人気となりますので、販売は基本的に抽選制です(公演によっては相当な倍率になるようで、昨年オペラ『椿姫』の抽選に応募した際は、第3希望まで申し込んだにもかかわらず全て落選でした)。販売の方法はこちらをご参照ください(来シーズンは、バレエとオペラについては抽選ではなく先着順になるようですね)↓

http://www.nntt.jac.go.jp/ticket/general/

さて、本日観た『ローエングリン』の感想ですが、何と言っても「ローエングリン役のクラウス・フォークトの声が美しい」「悪女オルトルートのどす黒さがヒロインのエルザを喰うぐらい印象的」の2点に集約されます。

フォークトは本国ドイツに熱烈なファンを有し、漏れ聞くところでは、今回の公演のためにわざわざ日本へ行く人も出たというほどの歌い手。実際聞いてみて、彼ほど声に豊かな表情のある人物など他にいるだろうかと思うほど、惹きつけられてしまいました。

加えて、オルトルートの悪役ぶりも素晴らしいものがありました。例えるなら、『ラピュタ』に出てくるムスカ並みの存在感。元々強烈な印象を放つ役として設定されているというのもあるのでしょうが、演じたペトラ・ラングの巧みな動きが、そのインパクトを増幅させていました。

新国立劇場のシーズンは来月で一旦区切りを迎えますが、秋以降の2016/2017シーズンでも、Z席は販売方法を変えつつ存続するとのこと。在京の方は、映画と同じ価格帯でオペラやバレエ、演劇を楽しめる機会として、利用されてみてはいかがでしょうか。
2016.05.26 / Top↑
昨日・今日の2日間の日程で、香港に来ています。

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今回の香港訪問では、尖沙咀から歩いて10分ほどの場所にある展示施設・六四紀念館へ行ってきました。

名前が示す通り、1989年の天安門事件を記憶し、語り継いでいくための施設です。

世界的に見ても極めて大規模な民主化運動の弾圧となった天安門事件。フィリピンやインドネシアなど、民主化に成功した周辺国との比較から後知恵的に言うならば、学生たちの要求が特定の指導者の辞任といった具体的なものでなく、「民主化」という抽象的なレベルに留まったこと、そして鄧小平ら指導層が「文革の反省から、学生には絶対に政局の主導権を握らせない」という断固たる姿勢で一致したことが、あのような惨劇の大きな要因になってしまったと言えるでしょう。

来月で、事件発生から27年。

韓国という、同事件の2年ほど前に民主化した国に住んでいた者として、また、その韓国の政治を研究している者としては、「民主化は、それを求める人々が思い描くほど美しいものではない」と思うところもあります。しかし、事件関係者が高齢化し、特にここ数年、事件に関わった学生の父母が相次いで世を去っているという展示施設側の危機感は相当に強いものがありました。民主化が実現しないまま時間が経つよりは、民主化し、その後厳しい現実に直面した方が、彼らにとっても有意義であると言えるでしょう。

六四紀念館のウェブサイトはこちら↓
http://64museum.blogspot.hk

英語による展示物の説明書きが用意されており、また学生団体が運営に当たっていて、スタッフ(=大学生)の方々も英語話者なので、中文ができなくても不便はありません。

1ヶ月ほど前、BBCで「ビルのオーナーが紀念館側に退去を求めた」との報道がありました。この退去要求、背後に政治的圧力の介在もささやかれていますが、一応「オフィスという名目で貸した物件が博物館として使われるのは契約違反」という名目になっています。このことについてスタッフに尋ねたところ、「この紀念館を閉鎖することはしません。別の場所へ移り、展示活動を続けます」との返事でした。

そういった事情ですので、今後香港へ旅行され、その際に同紀念館へ足を運ばれるという方は、紀念館移転の情報を予めレビューされておいた方がよろしいかと思います。
2016.05.20 / Top↑
一昨日から明日までの日程で、ソウルに来ています。

今回で訪れること20回目、高麗大学への2年間の留学期間を含めればそれ以上の付き合いとなる韓国。

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一昨日には、14年前の2回目の訪韓時に購入、以来ずっと使い続けてきた旧式のソウル交通カード(IC乗車券)が「自動改札機のシステムが更新され、旧規格のカードに対応できなくなったため使用停止」となり、窓口で新規格のカードに交換してもらうという一幕もありました。

さて、今回の訪韓では、数ヶ月に一度行っている韓国国会図書館での資料収集のほか、当地の主要農民団体の一つである韓国農業経営者連盟中央会(韓農連)という団体へのインタビュー調査も行いました。こちらの団体、2003年のメキシコ・カンクンでの世界貿易機関(WTO)閣僚会合に反貿易自由化を訴えるデモ隊を派遣、さらにはそのデモ隊のメンバーが自由貿易への抗議の意思を込めて割腹自殺したという、筋金入りの反自由貿易派。

韓農連のウェブサイトはこちら
http://www.kaff.or.kr


インタビュー内容は、「諸外国と相次いで自由貿易協定(FTA)を結ぶなど、貿易自由化政策を進める韓国政府に対し、農民団体としてどのような反対運動を行い、その運動の成果をどう自己認識しているのか?」というもの。

先方から聞き取った内容は、裏付け資料との照合を行い、6月に京都で開かれる学会で公表する予定です。さしあたり本日のインタビューでは、韓農連の皆さん、私のような外国の研究者に大変快く対応してくださいました。感謝。

今回のインタビューは、一農民団体へのものに過ぎませんが、貿易自由化への農民の抵抗という問題は、目下、環太平洋経済連携協定(TPP)の国内対策を議論している日本にも共通するもの。実際、韓国の方々も隣国の農政の動向に強い関心があるのでしょう。今日の約1時間半のインタビューのうち、最後の20分は、先方が日本のTPP議論について質問し、こちらがそれに答える時間となりました。

来月公表する研究成果が、日本国内のTPP議論にも何らかの形で役立てればと思っています。
2016.05.13 / Top↑
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西新宿の新国立劇場で同劇場バレエ団の公演『ドン・キホーテ』を見てきました。

同劇場でこれまでに観賞したバレエ作品は、『くるみ割り人形』や、『白鳥の湖』のオデットとジークフリートが結ばれるハッピーエンド版など、爽やかな余韻に浸りながら客席を後にできるものが多かったのですが、今回の作品もその御多分に洩れず、ラブ・コメディの王道に相応しい心地良さを持って帰路に就くことができました。(以前、パリのオペラ座で見た『泉』のように、切なく終わる作品を見た後、その切なさを噛みしめながら帰るのも、それはそれで楽しいのですが…)

舞台芸術を鑑賞していて嬉しく思うのは、演じ手の素晴らしい演技に対する敬意を、カーテンコールの際の拍手という形で直接伝えることができる点。私も、アマチュアとはいえ、かつて芝居をした経験を持つ者として、何かを演じるということが「楽しく、充実感を伴うものではあっても、決して『楽』ではない」ことは身にしみて分かっているつもりです。そうであるが故に、素晴らしい演技を見せてくれた演じ手への敬意を客席から直に伝えるというのは、その素晴らしい演技を直に目にするということと並び、劇場に足を運んだ者の特権であるといっても過言ではないと思うのです。

さて今回は、先週開かれた文学フリマ東京での購入作品のうち、以下2作品の感想を書いていきたいと思います。


豆塚エリ『恋ぞつもりて』(こんぺき出版ウェブサイト:http://mmn.soragoto.net/

大分の別府を拠点に活躍されている詩人・豆塚エリさんの俳句集です。同じ作者による詩集はこれまでにも購入したことがあるのですが、今回取り上げるのは俳句集。

実は、豆塚さんが俳句を詠まれたということはこの句集をブースで目にするまで全く知りませんでした。

ブースでこの句集を目にし、「豆塚さん、俳句を詠まれたんですか?」と尋ねたところ、売り子さん曰く「以前、B5版を裁断し、182mm×182mmの正方形の版型で詩集を刊行した際、印刷業者から『余りとなる75mm×182mmの部分で、もう1冊細長い本を作れる』と言われたので、俳句集を出してみようということになった」とのこと。

前半部分は、詠み手が高校生の頃に詠んだ、いかにも女子高生らしい、甘酸っぱくも清々しさの感じられる作品が並んでいるのに対し、後半は、大人の女性となった詠み手が、熱さと痛みが綯い交ぜになった恋愛感情を五七五の枠に詰め込んだ作品が連ねられています。詠み進めていくうちに、ナイーブな「女の子」が恋愛感情を心の中に抱え、それを持て余しながら(そして多分に回り道をしながら)「女性」になっていく過程の一部を同時展開できるという作り。

先述の売り子さんも「恋愛を詠んだ俳句はあまり多くない」と仰っていましたが、確かに私も、恋愛感情を織り込んだ俳句をこれまで目にしたことはほとんどなく、非常に新鮮な印象を覚えました。

ただ、それと同時に私が強い印象を抱いたのは、詠み手が恋愛感情を五七五のラインにきちんと載せているだけでなく、その感情を持て余し、時にその感情に振り回されるという、十代後半から二十代前半にかけて多くの女性が経験する場面を、短い言葉の上に再現している点。扱いの難しい、そして誰も扱い方など教えてくれない感情を抱えてしまい、困惑しつつも、次第に自分なりの当該感情のあしらい方を身につけていく…大人になる上で大抵の人が通る道の、いわば前半部分を紙面に再現する過程で、著者による丁寧な言葉の吟味が行われたであろうことが、素人にもはっきりと伝わる一冊だと思いました。


並木陽『青い幻燈』(著者ツイッター・アカウント:@namicky24

文学フリマの歴史小説クラスターの常連でありながら、実は私にとっては今回が初購入となる並木陽さんの小説です。舞台は19世紀のパリ、カルチェ・ラタン。パリの学生街として知られるこの一角に住む、若き詩人と画家に焦点が当てられています。先の見えない中を生きる2人、彼らの住むアパルトマンに突如としてやってきたお針子志望の少女。先が見えない中にあって、青春ともいうべき「今」を生きるのに全力を注ぐ彼らの姿が、コミカルだが重みのある言葉も発する老人、そして孤独と引き換えに魂の充足を約束する紳士という登場人物の絶妙な設定によって、現実味たっぷりに、というよりも、読み手が書き手の作り出す仮想現実の中に放り込まれてしまったかのような迫力を以って展開されていきます。

先のことを全く考えない訳ではない。しかし、着実にやってくるかどうかも分からない未来のために現在を犠牲にしたくはない。それに、勉学に励み、研鑽を積んだところで、それが自分の食べていく糧になるとも思えない。必然的に、刹那的な生き方をするようになる。これは、時代や国に関係なく、学生と呼ばれる者たちの大半に共通するところなのではないかと思います。

かつては「日本のカルチェ・ラタン」とも呼ばれた界隈に長らく身を置き、今もそこで教鞭をとっている者としては、時代を越えた普遍的ともいえる「若者像」を、しかし第三共和政時代のフランスという時代背景を多分に生かしながら描写した本作品の筆致に、多いに惹き付けられるところがありました。
2016.05.08 / Top↑
本日、東京流通センターで即売会・第二十二回文学フリマ東京が開催されました。

現会場で開催されるようになって10回目、そして私自身にとっても10回目の参加となる文学フリマ東京ですが、おかげさまでドバイを舞台とした『賢人支配の砂漠』は今回も売切れとなりました。それ以外の作品も含め、

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朝11時の時点でこれだけ用意した頒布作品が、

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夕方4時過ぎにはここまで減りました。

当ブースにお立ち寄りくださった皆様に御礼申し上げます。

ちなみに、2枚目の写真に写っているSoyjoyはお隣のブースの悠路さんから頂いたものです。こちらについても感謝。

なお、先日の本ブログ記事に書いた通り、本日の売上のうち、新刊『大陸と海洋の交差路』の売上分5,500円は、熊本地震義援金として日本赤十字社に寄付させていただきます。

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手続きが完了した際には、追ってお知らせします。

5月2日追記
本日、上記金額の振込み手続きを済ませましたので、こちらにて追記という形で報告させていただきます。


次回の即売会出店は、6月5日に福岡ドームで開催されるCOMIC CITY福岡です。販売作品など詳細については、今月下旬に追って告知いたします。
2016.05.01 / Top↑