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来週末、9月4日に盛岡市で同人誌即売会・第一回文学フリマ岩手が開催されます。

私、高森のブース番号は「ア-02」です。

当日は、以下の3作品を販売する予定です。このうち2作品は、6月のCOMIC CITY 福岡、並びに7月の文学フリマ札幌と同じラインアップとなっておりますが、3作品目については、当初販売予定だった1970年代の台湾を描いた作品『半島と海峡の狭間で』が売り切れてしまった関係で、ベトナム戦争を描いた作品『疎遠なる同胞』とさせていただきました。御理解を頂けますと幸いです。


『大陸と海洋の交差路』(2016年作)…頒布価格:500円 (新作)

那覇を訪れた香港の文化人類学者・唐瑞延は、これまで自身の沖縄での研究活動を支えてきてくれた台湾出身の恩人・安麗生の職場を訪ねる。台湾政府の意向を受け、長年台湾と沖縄の交流事業に携わってきた麗生は、定年を迎えたこともあり、所属する政府系機関を退職することになっていた。
長年に渡る学恩に礼を言い、また麗生の日台交流への尽力をねぎらう瑞延。そんな彼に麗生は、「これは回顧録にも書かなかったことなのだけれど…」と、ある秘密を打ち明けた。曰く、台湾人として沖縄との民間交流を深めてきたはずの彼女は、実は沖縄本島で、沖縄県民として生まれたのだという。なぜ、沖縄県民として生まれた人物が、台湾人になったのか。その疑問を抱いた瑞延に、麗生は「台湾疎開のことは、御存知かしら?」と問いかける…。
太平洋戦争末期、1万人を超える沖縄県民が、当時日本領であった台湾へと疎開しました。しかし終戦後、彼らの疎開先は中国国民党の支配下に入り、そして彼らの故郷・沖縄はアメリカ軍の支配下に入ります。疎開先も、そして故郷も「日本」ではなくなった日本人疎開民。やがて彼らは米軍支配下の沖縄へ、すなわち中国からアメリカへ「帰る」ことになります。
戦中から戦後にかけての沖縄を、台湾の視点から描いた作品です。


『賢人支配の砂漠』(2014年作)…頒布価格:300円

東京の大学で教鞭をとっていた在日韓国人三世の経済学者・鄭太植は、『在日』をめぐる左右両翼の論争に嫌気がさす中、中東・ドバイの大学から赴任のオファーを受ける。日本国内に留まることへの疲労感もあってそのオファーに応じた太植だったが、遊牧民の伝統を残すアラビア半島の部族社会は、やがて彼に「支配」をめぐる新たな考えを抱かせるようになる。
昨今の「アラブの春」にもかかわらず、絶対君主制を維持するアラビア半島諸国。その内面に目を向けることで、支配・統治のあり方の多様性を描き出します。


『疎遠なる同胞』(2011年作)…頒布価格:500円

インドシナに派兵された韓国軍によって両親を殺されたベトナム人少女。身の危険を感じた彼女は、当時の南ベトナム首都・サイゴンへと逃れるも、避難先で食いつないでいくため、韓国人従軍記者に雇われ、この記者の下で生活することとなる。やがて、共産軍が南へ侵攻、サイゴン陥落が目前に迫った段階で彼女は…。
外国人の兵士に肉親を殺され、他方同じ国の記者と暮らすことで生き延びた少女の視点から、戦争最末期のベトナムを描き出します。国籍やエスニシティ、或いは国民性といったフィルターを介して世界を見ることの危うさを感じて頂ければ幸いです。


多くの方のお越しをお待ちしております。
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2016.08.26 / Top↑
17日から22日までの日程で、シンガポールとマレーシアを訪れています。

シンガポールへ来るのは7年ぶり。1965年の建国以来、政府による徹底的な管理の下で急速な発展を遂げたこの国は、

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マリーナ・ベイ・サンズや、

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高層ビル群、マーライオンなど、

景観美においても人工性が貫徹されています。

華人、マレー人、インド系という言葉も宗教も異なる国民を管理し、かくの如き繁栄へつなげていったシンガポール政府の手法は、当然、非常に厳格であってきました。チューイングガムや鳩への餌やり、はたまた公衆トイレの流し忘れにもペナルティが課せられるという罰金大国ぶりにも、それはうかがえます。

上からの統制が厳格なシンガポール。国政選挙でもそれは同じで、この国の国会議員選挙は1990年代以降、大選挙区勝者総取り方式、つまり、「1選挙区の定数が5-6名で、一票でも多く得票した政党が、当該選挙区の議席を独占する」という、アメリカ大統領選挙と同じ制度が取られてきました。いうまでもなく、資金や情報面で圧倒的に有利な与党・人民行動党を必ず勝たせるためであり、事実、これまでこの国の政府は、総選挙のたびに「野党を当選させた選挙区は、ペナルティとして公共事業を後回しにする」と公言してきました。

まして、この国の総選挙は、投票用紙に通し番号が振られているという代物です。

しかし、そんな中でも、2011年と2015年の2回の選挙で立て続けに野党を当選させてきた地区があります。

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アルジュニード。いわゆるゲイラン地区です。

政府公認の赤線地帯でもあるこの地区は、低所得層の住民が多く、いわばエリート主導の国家建設に馴染まない人々が多く住む場所。上述のマリーナ・ベイとは全く異質の土地です。(なお、ゲイラン地区住民の名誉のために断っておきますが、同地区は決してスラム化したり、治安が悪い訳ではありません。むしろ同地区は、バンコクのカオサンやクアラルンプールのチャイナタウンと同じく、手軽な宿が多い場所として旅行客には人気の街です)

この低所得層主体の街は、2011年の選挙で現職外相を含む与党候補を落選させました。そして、当該結果に危機感を覚えた政府が露骨なゲリマンダー(選挙区割の恣意的な変更)を行った2015年選挙でも、同様の民意を示しました。

開発という観点から見れば大成功を収めたシンガポールでさえ、政府のやり方についていけず、Noを突き付ける人々がいる。この国のそうした事実は、社会を束ね、導いていく上で100%の正解などないということを端的に示していると言えるでしょう。
2016.08.18 / Top↑