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2月21日から26日まで、メリーランド州ボルティモアのヒルトン•ホテルで開かれたISA (International Studies Association) の第58回年次大会で研究発表を行うため、訪米しておりました。

私は、東アジア政治という国際色の強い分野を専門にしているということもあり、院生の頃から毎年最低1回は英語(場合によっては韓国語)による国際学会での発表を行うようにしています。ただ、昨年発表を行った2回の国際会議が、東京および神戸と、いずれも日本国内を開催地とするものであったため、今回は一昨年夏の韓国政治学会以来、1年半ぶりの日本国外での研究発表となりました。

今回発表を行ったISAは、国際関係や国際開発を専門とするものとしては北米最大の学術団体。そうしたバックグラウンドも手伝って、今回のセッションでは、欧米やアフリカなど、様々な地域からの参加者と議論を交わすことができました。

今回の私の発表内容は、簡単にまとめると「経済発展は、しばしば都市と農村の激しい所得格差をもたらすが、韓国では都市と農村が並行発展した。それは、政府が農産物の増産を進めつつ、同時に、財政負担をしてまで農家から農産物を高く買い上げたからである」というもの。発表に続く討論の時間では、中国およびナイジェリアという、現在進行形で農村の貧困問題を抱えている国の方々と意見を交わすことができました。

無論、途上国の農村の貧困は根深いものであり、容易には解決策が出ないものです(ちなみに、少しだけ専門的な話をしておくと、貿易の自由化が進んだ今日では、上の韓国の事例のように、政府が農産物価格を人為的に操作することは困難になってきています)。しかし、そうした難問であるからこそ、プロフェッショナルは様々な解決策を試行錯誤的に練っていかなければなりません。発展途上段階の農村の貧困問題に上手く対処し得た事例の分析という私の研究が、何らかのcontributionになれば幸いです。

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学会の後は、アムトラックの列車に乗り、ニューヨークへ北上しました。

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11年ぶり3回目となった今回のニューヨーク訪問では、メトロポリタン美術館へ行った後、同館の背後に広がるセントラルパークを歩きました。物語の書き手からみると非常に「絵になる」場所でもあるので、今後の作品では是非この公園を登場させたいと思っています。

<おまけ>

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学会での発表が終わった直後、ボルティモア市街地の外れに位置するボルティモア・オハイオ鉄道博物館へ行きました。さいたま市にある鉄道博物館と姉妹館にもなっている博物館なのだそうです。

アメリカの鉄道といえば、20世紀半ば以降は自動車と航空機に押され、半ば貨物輸送に特化している感がありますが、学部生の頃、ジョージア州を寝台列車で駆け抜けた際は、食堂車でいかにもアメリカンな肉厚なステーキを食しつつ、大陸らしい雄大な車窓を満喫した思い出があります。今回の訪米では、幹線区間であるワシントン~ニューヨークのみの乗車となりましたが、いずれまた、ゆったりと時間をとり、アメリカの汽車旅を楽しみたいと思っています。
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2017.02.27 / Top↑
日付の上では昨日となりますが、静岡市内で開催された同人誌即売会、静岡文学マルシェに出店いたしました。私•高森純一郎のブースは、閉場2時間前の15時頃、持ち込んだ20冊が売り切れたため、一足お先に撤収させて頂きました。当ブースにお立ち寄り下さった皆様に、御礼申し上げます。

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今回のイベントでは、ロシアケーキやビスケットなどの差し入れを頂く場面もありました。こちらについても、厚く御礼申し上げます。

昨年夏の試験開催に続き、初の本格開催となった静岡文学マルシェですが、地元の店舗やメディアと密接なコミュニケーションがなされており、地方イベントとしては極めて円滑に運営されていたように思います。

おそらくそれは、今回のイベントの運営の方々が、スノドカフェ七間町という、地域に根差した協力者を得たことも大きいのかもしれません。この度の出店のため、静岡県庁近くの宿に泊まったおり、宿のスタッフの方から伺ったのですが、今回の前夜祭会場ともなった同カフェは、地元の方々から大変親しまれ、愛されているのだそうです。

静岡、浜松と、日本全体で見れば決して小さくない都市圏を抱えており、文芸関連のイベントに対する「需要」も相応に有している静岡県ですが、これまで三大都市圏の中に埋没し、イベントの「供給」は不充分で、イベントにも馴染みのないところがあったのかもしれません。こうした事情もあってか、運営の方々は「即売会の初心者も入っていきやすい雰囲気作り」に心を砕いていらっしゃいましたが、入り口近くのブースで見ていた限りでは、そうした努力はかなりの程度、奏効していたのではないかと思います。文芸関連のポテンシャルが小さくない地域だけに、今後、このイベントが継続し、未だ潜在している静岡の文芸の可能性を顕在化させていければと願っています。

次回の私の即売会出店は5月7日の文学フリマ東京、その次は5月21日のCOMIC CITY 福岡です。多くの方のお越しをお待ちしています。

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なお、今回の静岡訪問では、イベントに先立ち、20年ぶりに大井川鐵道のSL急行にも乗りました。

イギリスやオーストラリアなどへ行くと、蒸気機関車の保存が「産業遺産の保護」と認められ、有志の寄付を集めている場面をよく目にします。しかし、同地を走るSL列車は、民間企業、それも、経営基盤の脆弱な地方私鉄によって支えられています。

そうした条件下で、40年にわたって蒸気機関車を運行しているというのは、まさに超人的な努力の賜物といっても過言ではないのですが、やはり過疎地域を走る大井川本線の運営は厳しく、現在同社は地域との一層の連携を模索しつつ、経営再建中。こちらも、地域の潜在可能性が顕在化すれば...と願わずにはいられませんでした。
2017.02.13 / Top↑
2月12日に静岡市で開催される同人誌即売会・静岡文学マルシェに出店します。

私・高森のブース番号は「あ-03」となっております。

今回のイベントでは、著者の本業との兼ね合い(今年の春に職位が変わる予定で、新たに担当する業務を複数抱えています)から、ポストカードの作成など各種企画への参加を見送らせて頂いておりますが、これまでに御好評を頂いている既刊として、以下の2作品を販売します。「あ-03」ブースへお立ち寄りの際は、お手に取って頂ければと思います。

ちなみに、今年の新刊は現在22万字余り書いた状況です。引き続き、5月7日の文学フリマ東京での頒布を目指して書き進めていきますので、覚えておいていただけますと幸いです。


『大陸と海洋の交差路』(2016年作)…頒布価格:500円
那覇を訪れた香港の文化人類学者・唐瑞延は、これまで自身の沖縄での研究活動を支えてきてくれた台湾出身の恩人・安麗生の職場を訪ねる。台湾政府の意向を受け、長年台湾と沖縄の交流事業に携わってきた麗生は、定年を迎えたこともあり、所属する政府系機関を退職することになっていた。
長年に渡る学恩に礼を言い、また麗生の日台交流への尽力をねぎらう瑞延。そんな彼に麗生は、「これは回顧録にも書かなかったことなのだけれど…」と、ある秘密を打ち明けた。曰く、台湾人として沖縄との民間交流を深めてきたはずの彼女は、実は沖縄本島で、沖縄県民として生まれたのだという。なぜ、沖縄県民として生まれた人物が、台湾人になったのか。その疑問を抱いた瑞延に、麗生は「台湾疎開のことは、御存知かしら?」と問いかける…。
太平洋戦争末期、1万人を超える沖縄県民が、当時日本領であった台湾へと疎開しました。しかし終戦後、彼らの疎開先は中国国民党の支配下に入り、そして彼らの故郷・沖縄はアメリカ軍の支配下に入ります。疎開先も、そして故郷も「日本」ではなくなった日本人疎開民。やがて彼らは米軍支配下の沖縄へ、すなわち中国からアメリカへ「帰る」ことになります。
戦中から戦後にかけての沖縄を、台湾の視点から描いた作品です。

『疎遠なる同胞』(2011年作)…頒布価格:500円
インドシナに派兵された韓国軍によって両親を殺されたベトナム人少女。身の危険を感じた彼女は、当時の南ベトナム首都・サイゴンへと逃れるも、避難先で食いつないでいくため、韓国人従軍記者に雇われ、この記者の下で生活することとなる。やがて、共産軍が南へ侵攻、サイゴン陥落が目前に迫った段階で彼女は…。
外国人の兵士に肉親を殺され、他方同じ国の記者と暮らすことで生き延びた少女の視点から、戦争最末期のベトナムを描き出します。国籍やエスニシティ、或いは国民性といったフィルターを介して世界を見ることの危うさを感じて頂ければ幸いです。


なお、私は12日の文学マルシェ本体に先立ち、11日午前中に静岡入りし、大井川鉄道で21年ぶりに蒸気機関車が牽引する列車に乗るほか、文学マルシェの前夜祭にも参加する予定です。静岡の観光資源にも触れつつ、多くのサークルさんとの交流ができることを楽しみにしております。
2017.02.06 / Top↑
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昨日までの3日間、研究資料の収集のために韓国へ行っておりました。

今回の訪韓では、

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これまでに何度も利用しているソウルの国会図書館に加え、

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行政首都•世宗特別自治市にある国立世宗図書館でも文献の閲覧、コピーを行ってきました。

世宗市とは、盧武鉉元大統領の時代に中央省庁の大部分を首都圏以外へ移転させ、ソウルへの一極集中を緩和させるという名目で建設が決定された計画都市。都市名はハングルを作ったことで知られ、10000ウォン札にも描かれている世宗王にちなんでいます。

李明博前大統領下の2012年、ソウルの南方130kmの地点に設置された同市ですが、その設立経緯上、中央省庁以外には「何もない」場所で、私も、今回、政策資料を集めるという目的で初めて訪れました。

ちなみに、計画都市だけにソウル都心からのアクセスは良く、今回私が利用したKTX(上の写真の高速列車)とBRTの乗り継ぎで所要約1時間。高速バスでも2時間あまりだそうです。

で、その世宗市中心部の街並みがこちら↓

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近未来的な外見の、政府官庁の庁舎ばかりが並んでいます。

ここまで計画性が徹底しており、かつ建設から日の浅い都市は世界的にもあまり例がないので、雑然としたソウルとの対比(とはいっても、ソウルも16,7年前とは比較にならないほどきれいな街になりましたが...)という点では、見ていて楽しい街でした。

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歴代大統領に関する文物を展示した「大統領記録館」という施設もありますので、韓国の近現代史に興味のある方は、一度足を運ばれてみるのもいいでしょう。

なお、周知の通り、現在の韓国は、憲法裁判所で弾劾裁判が行われているため、朴槿恵大統領の権限が停止されています。私は13年前に行われた前回の弾劾裁判の際も、釜山外国語大学校と東国大学校のお世話になる形で韓国に滞在していたのですが、当時は盧武鉉の国政復帰を求める声が随所で聞かれたのに対し、今回、世論は朴槿恵を完全に見限り、次の大統領選びに意識を向けています。

無論、政治指導者の必須条件である社交性と学習能力が、朴槿恵に決定的に欠けていたことは否定できません。ただ、この2つのスキルに欠けていた点では、彼女の前任者も、前々任者も、あまり大きくは変わりません。大統領として成長していくという謙虚さに欠いていた点では、李明博も、盧武鉉も似たところがありました。

それは、根本のところでは、単に彼らに政治家としての成長能力・努力が足りなかったというだけではなく、大統領に就任当初から完全無欠なスーパーマンたることを期待するこの国の世論の反映でもあります。

しかし、民主主義国家において行政の指導者とは、有権者から権力を付託される存在。指導者は円滑な法の執行のため、絶えず学習することが要求されますし、他方で有権者は、自分たちの多数代表として選んだ人物を、絶えず育てる責任があります。

President can grow up, even if he or she is a stupid one.(大統領は成長しうる、たとえそれが、愚かな大統領であったとしても)

これは、私が学部3年生の時、英語のディスカッション•スキルを磨く授業で担当教員が私に言った言葉です。時は2004年11月、アメリカ大統領選挙で、W. ブッシュが再選された直後のこと。コロンビア大学出身の生粋のニューヨーカーにして、バリバリの民主党員だった彼に選挙結果の話題を振ったところ、彼はそう答えました。

政治家といえども人間です。完全無欠などということはあり得ません。なればこそ、絶えず成長しようという努力は必須ですし、有権者も権力者を育てようという努力を払わなければならないのです。

次期大統領が誰になるにせよ、政治家を含む有権者の多くがこの点を直視しない限り、韓国政治は将来、再び似たような混乱に陥る。そしてそれは、やもすれば大統領や首相にリーダーではなくボスたることを期待してしまう諸外国の有権者にとっても、決して他人事ではない。...今回の訪韓を終えた後、東京へ戻る機内で私は、そんな思いを抱きました。
2017.02.04 / Top↑