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この1週間ほど、南アフリカのヨハネスブルグ、およびプレトリアを訪れておりました。写真は首都プレトリアの高台からの光景。標高1700m。アフリカ大陸が五大陸の中で最も平均標高が高いことを肌で感じられる絶景でした。

今回南アを訪れたのは、9月から始まる新学期の授業「政治学」で「世界各地の政治事情」を取り上げ、その中で「アフリカの政治」にも言及するため。本来、アジア、中でも韓国が専門である私にとってアフリカは縁が深いとは言い難く、これまでに訪れたのは北アフリカのモロッコのみ。しかし、「授業の中でアフリカの政治を取り上げます」と言っておきながら、その授業担当者がいわゆる「ブラック·アフリカ」を未訪問のまま教鞭をとるというのは、どう考えても「金をとっていい仕事」ではない…フィールドワークを交えつつ地域研究をやってきた者としてはそういった思いが強く、今回、実際に南部アフリカへ足を運んだ次第です。

南アと言えば、四半世紀前までアパルトヘイトが行われていた国。

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ヨハネスブルグ郊外の旧黒人居住区·ソウェトや、アパルトヘイト博物館を見て回りました。

現在では、人種別の居住制限など行われていない南アですが、他方で、激しい所得格差と、それに付随する治安の悪さに悩まされているところがあります。上の写真のうち、私の背後に写っているのは比較的裕福な人々が住む住宅、その下の写真は、一目見て分かるように最貧困層の人々が暮らす住宅。どちらも、同じソウェトにある、黒人住民の家です。

所得格差が生じる最大の要因は失業問題。同国の失業率は25%を超えます。フォーマルな職業で公用語となっているのが英語、すなわち大半の国民にとって母語でないということも、就労上の障壁になっているようです。

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ヨハネスブルグ都市圏を走る通勤電車·メトロレール。モスクワのエレクトリーチカやマニラの路線バスと同じく、車内でお菓子や文房具を売り歩くおじさんにしばしば出会うのですが、彼らの中には英語で取引をするのに難がある人も少なくありませんでした。

アフリカ諸国の中には、まさに南アのように多数の言語が入り交じり、その扱いがセンシティブなイシューになっている国がいくつもあり、その中にはケニアのように、母語の異なるエスニック集団同士の対立が暴力に発展してしまうケースも多々あります。今回の南ア滞在中、そうした言語とエスニシティをめぐる多様性に直面する場面は多々ありました。

他方で、ヨハネスブルグやプレトリアのダウンタウンでは、アフリカ最大の経済大国らしく、様々な商品が活発に売り買いされる光景も目にしました。

こうした経験ゆえ、今回の南ア訪問は、総じて見るならば、アフリカの一国としての同国もさることながら、BRICS(Brazil, Russia, India, China, South Africa)の一員としての同国も垣間見る機会となったといえます。

他のBRICS諸国、中でも中国とインドは、様々な国内問題を抱えつつも、成長路線をひた走るバイタリティがこの上なく魅力的な国々。南アフリカにも、それら2ヶ国に通じるものが多々ありました。他方でこの国には、同じ上位中所得国のロシアと同じく、豊かな国としての「大人」の側面もあります。人種差別の過去を乗り越え、一定の成熟を見せつつ、更なる成長を続ける同国に豊かな祝福のあらんこと、心から祈っています。
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2017.08.27 / Top↑
現地時間8月1日から13日までの日程で、勤務先が行っている短期留学プログラムの引率教員として、ボストンにあるノースイースタン大学に赴いております。

現在、当地はアメリカ東部時間で12日土曜日の夕刻。今日の午前中は、学生たちが2週間に渡って当地で受けた講義の成果を踏まえ、日米双方の学生が出席する中で研究発表を行いました。学生たちは今頃、当地でできた友人たちと一緒にフェアウェル・パーティをやっていることでしょう。彼らはもう1週間余りこの国にとどまり、ニューヨークのコロンビア大学などで特別講義を聴講する予定なのですが、私は韓国でも同様の引率業務を抱えていることもあり、引率役をアシスタントの院生とアメリカ人教員に引き継ぎ、明日帰国します。

私にとっては、短期留学のような国際交流プログラムに関わるのは今年が初めて。暗中模索の中で業務を遂行した部分があり、いくつか判断ミスがあったことは学生に申し訳なく思っているのですが、大学の事務室やベテラン教員陣から事前に豊富な資料や情報を提供していただいていたこともあり、大きな問題が起こることなく(学生全員に何事もないまま)、引率業務を後任に引き継ぐことができました。

事前にセットされていたイベントを全てやり終えて改めて実感したのは、「国際交流」と称される国境を越えた人的つながりの相当部分が、個人の信頼や誠実さ、あるいは人望に依拠しているということ。外交の世界では、国家間関係といえども首脳同士の人的つながりが事の成否を大きく左右するとよく言われますが、この2週間は、そのことを肌で実感する場面の連続でした。

先方のホスト教員との協力や、特別なイベントを設定する場合の交渉力。無論、この種のプログラムが、彼我の大学という「組織」が提携することで行っている交流事業であるということが大前提であることに変わりはないのですが、その窓口となる人物の「個性」は、交流の成否に少なからぬ影響力を及ぼすということを、この2週間弱の間に実感することが多々ありました。

私が、「明治大学政治経済学部」の現地窓口として、どこまで先方の信用をつなぎとめることができたのか、いささか心許ない部分もありますが、‘I very much enjoyed hosting you in Boston. I look forward to seeing you in Japan.’との言葉を下さった先方のホスト役の教員には、心からの謝意を表したいと思います。

今日、数週間外国の大学で学ぶ、短期留学やサマースクールのようなプログラムは、国際感覚を持った人材の育成に資するとして、ますます重要視されるようになってきています。以前、ある国際会議で同席したイギリス人の教員いわく、「ヨーロッパでは、EU本部がサマープログラムに積極的な助成を行うことで、汎ヨーロッパ的観点を持った人材の育成を図っている。EU離脱を決めたイギリス政府も、この政策枠組みには引き続き加入し続けたいと考えている」のだそうです。

韓国・高麗大学に2年間と、日本国外で教育を受けた経験を持つ者としては、その経験を部分的であっても、今回の引率業務に反映させることができていればと考えています。そして、様々な面で15年前の私よりも優秀である彼らが、今回の経験を基に、より本格的に世界と関わっていってくれればと願っています。
2017.08.13 / Top↑