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10月26日から27日にかけて、イタリアの国立ローマ第三大学で開催された国際学会7th International Conference on Food Studiesに出席して参りました。食糧研究という、自然科学から社会科学まで、多様な分野を含みうる極めて学際的なテーマの会議であり、私としても理系の研究者らと場を共有するという、貴重な体験をさせていただきました。

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当然、私も研究発表者の1人であり、ポスター発表を行いました。

ポスター発表というのは、上の写真のようにA2版、大きい場合にはA0版ほどの大きさの、自分の研究内容をまとめたポスターを学会会場内の指定場所に指定時間帯に貼り、観覧に来てくれた人に、発表内容を手短に(私の場合は1分前後を目処にしています)口頭で説明するというもの。観覧者がその内容に興味を持てば、その後発表者とのインタラクティブな会話に発展していきます。

パワーポイントを使い、20分程度かけて話をするという、いわゆる口頭発表に比べ、伝えられる内容は限られてしまう上、手短に話をするスキルが問われる発表形態といえます。概ね、口頭発表よりも学会主催者側の審査·採用基準も緩く、率直に言えば研究業績としての位置付けもさほど高くはないのですが、今回は手短に発表内容を伝えるスキルを維持するという観点から、およそ1年ぶりに口頭ではなくポスターでの発表を申請しました。

発表内容は、「国家が強い主導権を持ってきた韓国農政においては、有機農業も、市場における消費者の需要ではなく、政府の普及策が主導する形で広まってきた。しかし、その普及策はインフラなどハード面に偏重しており、消費者の需要喚起といったソフト面が遅れている」という政策レビュー。セッションの席上では、台湾大学の研究者らと話し込み、名刺を交換する機会も得るなど、充実した一時となりました。

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学会終了後はローマから足を伸ばし、バチカンと同じく四方をイタリアに囲まれた人口3万人ほどのミニ国家·サンマリノ共和国へ。

ローマ皇帝の迫害を逃れたキリスト教徒が樹立したというこの国は、世界最古の共和制国家。ローマ軍も安易に追ってくることができなかったという険しい地形の上にある首都サンマリノ市は、今日では絶景を堪能できる街として、多くの旅行客が訪れる地となっています。私も、こうした風景を眺められるレストランで昼食を頂き、至福の一時を過ごさせていただきました。

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今回のイタリア渡航で再訪したバチカン。特殊な歴史的経緯ゆえ、人口数万人、あるいはそれ以下の規模の国がヨーロッパにはいくつもあります。こうしたミニ国家のあり方やしたたかな外交戦略に触れてみると、大国志向とは異なる、そして今後日本人にとって、多分に参考となるエッセンスを得ることができます。そうした意味で、ヨーロッパには、まだ訪れるべき土地が多々ある…今回の渡航では、そう感じる場面もありました。
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2017.10.30 / Top↑
先週、今週と、

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佐渡島のトキ保護センターと、

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徳島の鳴門海峡を相次いで訪れました。

佐渡と鳴門、どちらも今回が初めての訪問だったのですが、このうち佐渡については、

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新潟港から両津港まで、佐渡汽船の大型フェリーに乗りました。新潟と両津を往復する船には、所要1時間のジェット・フォイル(高速船)と、所要2時間半のフェリーがあるのですが、今回は「ジェット・フォイルは6月に香港からマカオへ行く際に乗ったし、大型フェリーには、ここ何年も乗っていないから…」という理由で、後者を選択しました。

また、その翌週の四国訪問の際は、東京までの帰路、

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寝台特急「サンライズ瀬戸」に乗る機会がありました。

この寝台特急の乗車は、当初から予定していたものではなく、本来は高松から東京まで、飛行機で戻る予定でした。しかし、台風の影響で搭乗予定便が欠航となってしまい、急遽代替となる帰京手段として、手配したもの。結果的には、学部生の時にワシントン·アトランタ間を移動して以来、11年ぶりに夜行列車に乗ることとなりました。

このところ(海外渡航時は当然としても)国内の移動に新幹線や飛行機、高速船を使うことが多くなった中、この2回の旅行では、比較的ゆったりとした移動時間を楽しむことができましたが、同時にこれらの旅行は、「旅行中の時間の使い方」について考える機会にもなりました。

以前本業で、韓国のグリーン・ツーリズム振興政策について研究をしたことがあります。グリーン・ツーリズムとは、いわゆる「農村観光」のこと。都会の人々が、自然の豊かな農村部を「観光地」とみなし、そこへ足を運び、ゆったりとした時間を過ごす、という旅のあり方を意味するもの。欧米やオーストラリアでは、都市の人々の農村への理解を促すと同時に、観光収入を通じた農村経済の振興策として広く行われているものです。

この研究をしていた折、日韓両国の農学関係者から異口同音に「ヨーロッパやオーストラリアに比べ、日本や韓国ではグリーン・ツーリズムは普及しづらい」という言葉を聞く機会が何度もありました。曰く、日本人や韓国人は道中、或いは旅先での時間の使い方が基本的に「ツアー旅行」…換言すれば、道中や旅先で「何もしない」ことを好まない、と。そういう旅行スタイルに慣れている人々には、グリーン・ツーリズムは退屈なものに思えてしまうはずだ、と。

実際、オーストラリア・グレートバリアリーフの離島のような海外のリゾート地へ行ってみると、シュノーケリングやクルージングを満喫する人たちの他に、浜辺を眺めたり、同行者と談笑するなどして1日を過ごしている人を少なからず見かけます。或いは、勤務先に在籍する留学生たちと話していても、旅行先に滞在すること自体を楽しむ、という声をしばしば聞きます、

無論、旅行中の時間は各人が好みに応じて使えばいいのですが、今回ふと気付かされたのは、自分自身、そうした滞在自体をゆったり楽しむ旅行はオーストラリアやアメリカなど「国外でやるもの」と考える傾向にあったという点。日本国内にも、滞在自体を楽しめる場所はいくらでもあることを思い出させられました。

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フェリーの甲板から眺めた佐渡島。離島の向こう側に日が沈んでいく光景は美しいの一言に尽きます。眼前の光景に心奪われるがままになる…この国の中にも、そうした時間の使い方ができる場所はいくらでもあると感じました。
2017.10.22 / Top↑
本日、福岡の天神で開催された即売会·第三回文学フリマ福岡に出店いたしました。

今年に入り、福岡での即売会出店は5月のCOMIC CITY、及び6月のポエイチに続き、今回が3回目。「過去2回の出店で、福岡在住のリピーターさんほぼ全員に新作が行き渡っている」という判断もあり、今回の持ち込みはビギナー向けの『賢人支配の砂漠』が8部、今年の新刊である『国家を背負って』が6部、昨年刊行した『大陸と海洋の交差路』が4部、計18部と控えめに設定していたのですが、事務局の方々のご尽力のお陰で盛会となり、開場3時間ほどで全作品が売り切れとなりました。当ブースにお立ち寄りくださった皆様、ありがとうございました。

今回のイベントで特に有り難く感じたのは、「知人が高森さんの小説を絶賛していたので…」或いは「友人がこのサークルの小説を薦めるので…」と、過去に拙作をお読み下さった方の御推薦で当ブースにいらした方が少なくなかったこと。作品を楽しんで下さっただけでなく、その思いを新たな読者さんに繋げて下さった方々には、特に厚く御礼申し上げます。

私の小説は、過去15年来、様々な方より、決して広く人気を博することはない一方で、「狭いが、深い読者層を形成する」との御指摘を受けて来ました。その御指摘の是非は別の機会に論じるにしても、「日本が属するアジアを始め、世界に向かって目を開く、もしくは開こうとする」方は、少数でありつつも確実にいらっしゃると思います。今後とも、そうした方々の評価に耐えられるだけの小説を書いていきたいと思いますので、何卒ご愛顧の程、宜しくお願い申し上げます。
2017.10.08 / Top↑
今週末、10月8日に福岡·天神で開かれる即売会、第三回文学フリマ福岡に出店します。

私·高森のブース番号は「う-26」、販売作品は以下の3種類です。


『国家を背負って』(2017年作)…参考価格:500円 <2017年新作>

1979年、中越戦争が勃発。中国人民解放軍の侵攻を受けたベトナム共産党および政府は、同国人民軍を動員しこれに対処する一方、国会議員らも動員した対中非難のプロパガンダを展開していく。
そんな折、国会副議長の地位にあった古参党員グエン・フー・アンは、密かに党中央・書記長から呼び出され、「中国側が、第三国たるフランス・パリで我が方との交渉を求めている。有利な条件で停戦に持ち込むためにも、同志にはこの交渉に応じ、中国側との話し合いを進めてほしい」と打診される。
これを聞き、一瞬、「外務省や軍の人間でない自分が、何故そのような任務を?」と疑問に思ったアンだったが、やがて書記長から、中国側の交渉担当者の名前を聞き、納得する。その人物は、若き日、パリに住んでいたアンが、ともに働き、ともに学んだ旧友だった…。


『賢人支配の砂漠』(2014年作)…参考価格:300円 <初めての方向け>

東京の大学で教鞭をとっていた在日韓国人三世の経済学者・鄭太植は、『在日』をめぐる左右両翼の論争に嫌気がさす中、中東・ドバイの大学から赴任のオファーを受ける。
日本国内に留まることへの疲労感もあってそのオファーに応じた太植だったが、遊牧民の伝統を残すアラビア半島の部族社会は、やがて彼に「支配」をめぐる新たな考えを抱かせるようになる。


『大陸と海洋の交差路』(2016年作)…参考価格:500円 <沖縄に関心のある方向け>

那覇を訪れた香港の文化人類学者・唐瑞延は、これまで自身の沖縄での研究活動を支えてきてくれた台湾出身の恩人・安麗生の職場を訪ねる。台湾政府の意向を受け、長年台湾と沖縄の交流事業に携わってきた麗生は、定年を迎えたこともあり、所属する政府系機関を退職することになっていた。
長年に渡る学恩に礼を言い、また麗生の日台交流への尽力をねぎらう瑞延。そんな彼に麗生は、「これは回顧録にも書かなかったことなのだけれど…」と、ある秘密を打ち明けた。曰く、台湾人として沖縄との民間交流を深めてきたはずの彼女は、実は沖縄本島で、沖縄県民として生まれたのだという。なぜ、沖縄県民として生まれた人物が、台湾人になったのか。その疑問を抱いた瑞延に、麗生は「台湾疎開のことは、御存知かしら?」と問いかける…。


なお今回のイベントは、8日中に東京へ戻らなければならないこちらの都合上、少々早めに撤収させていただくことになります。予め、ご了承願います。
2017.10.02 / Top↑