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本日、東京流通センターで開かれた第二十五回文学フリマ東京に出店いたしました。

本日の出店に際して、まずお詫び申し上げたいことが二点。

一つ目、今回は私が体調をやや崩し気味だったために、会場入り、ブース設営が一般開放後の11時半頃となりました。もし開場直後に私のブースへいらしていた方がいらっしゃったのであれば、対応できませんでしたこと、お詫び申し上げます。

二つ目、本日は持ち込んだ作品が早い時間帯に売り切れたために、3時過ぎに会場から撤収させていただいたのですが、その際、ブースに貼り付けたpopを1枚、剝がし忘れたかもしれません。閉場後の後片付けの際、恐らくご迷惑をおかけしたかと思いますが、この点についてもお詫びしたいと思います。

さて、今回の文学フリマは、新刊がないということもあり、リピーターの方よりも「一見さん」に拙作を読んでいただくことに注力した出店形態をとらせていただきました。

具体的には、今年5月に販売開始した『国家を背負って』の残部も卓上に並べるものの、既刊のうち最も分量が少なく(約11万字)、かつ過去の文学フリマでご好評を頂いていた『半島と海峡の狭間で』を15冊用意し、これを下のようなチラシを使って紹介していくという形をとりました。

第25回文学フリマ東京チラシ

出版社が大学に送付する学術書の案内や、大学が一般向けに行う講演会のチラシを参考に作成したものなのですが、この効果のためか、持ち込んだ15冊は3時間あまりで売り切れました。当ブースへお立ち寄りくださった方々に、心より御礼申し上げます。

私の即売会出店は、年内はこれが最後。次回は、今のところ2018年1月21日の文学フリマ京都を予定しております。来年も引き続き、ご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。
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2017.11.23 / Top↑
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昨日、新国立劇場でヴェルディの「椿姫」を見てきました。昨年5月のワーグナー「ローエングリン」以来1年半ぶりのオペラ鑑賞にして、世界で最も愛されるバレエ作品の一つ。演じ手の素晴らしさもあり、ヴィオレッタの最期は涙腺を刺激して余りあるものでした。

さて、来る11月23日に東京流通センターで開催される即売会・第二十五回文学フリマ東京に出店します。

私・高森のブース番号は「イ-43」、販売作品は以下2つです。


『半島と海峡の狭間で』(2007年作/2017年改訂)…参考価格:300円

1970年代初頭、韓国大使館員として中華民国・台北に赴任したキム・ギョンナムは、当地で日米両政府が大陸・中華人民共和国に接近し、台湾の国際的孤立が高まるという緊迫した状況に直面する。
国民党一党独裁下の台湾と、軍事政権下の韓国。反共を国是とする両体制を行き来する彼は、しかし同じ資本主義陣営に属するはずの日米が大陸の共産党政権へと接近していく中、自国の、そして赴任先の政治体制に少なからぬ疑問を抱く。
やがてその疑問は、彼の外交官としての立場を危ういものにしていき…。


『国家を背負って』(2017年作)…参考価格:500円

1979年、中越戦争が勃発。中国人民解放軍の侵攻を受けたベトナム共産党および政府は、同国人民軍を動員しこれに対処する一方、国会議員らも動員した対中非難のプロパガンダを展開していく。
そんな折、国会副議長の地位にあった古参党員グエン・フー・アンは、密かに党中央・書記長から呼び出され、「中国側が、第三国たるフランス・パリで我が方との交渉を求めている。有利な条件で停戦に持ち込むためにも、同志にはこの交渉に応じ、中国側との話し合いを進めてほしい」と打診される。
これを聞き、一瞬、「外務省や軍の人間でない自分が、何故そのような任務を?」と疑問に思ったアンだったが、やがて書記長から、中国側の交渉担当者の名前を聞き、納得する。その人物は、若き日、パリに住んでいたアンが、ともに働き、ともに学んだ旧友だった…。


今回は、新刊はありません。1980年代のソビエト連邦を舞台にした次回作は、2018年春の完成を目標に執筆中。現在、全体の3分の2にあたる14万字ほどを書いたところです。

そういった事情でもありますので今回は、今年の新作である『国家を背負って』の残部も持参いたしますが、基本的には既刊を並べ、初めて拙作を手にとられる方を対象とした出店形態をとりたいと考えています。

そこで、拙作の中ではドバイを舞台にした『賢人支配の砂漠』と並んで短く(約11万字)、かつ読者の方からも御好評を頂いた『半島と海峡の狭間で』を改訂の上、主力商品として展開することとします。

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今回、改訂を行った『半島と海峡の狭間で』。表紙の色は、水色です。

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国民党一党独裁時代の台湾における、政府の台湾土着住民に対する迫害、いわゆる白色テロをも取り上げたこの小説は、現代の30代以下の日本人には馴染みの薄い社会状況を舞台にしたものです。そういうこともあり、視覚的な情報を加味することで、作品内容をイメージする助けになれば…と思い、冒頭の「はじめに」を新しいものに差し替えた上で、同ページに白色テロの犠牲者を追悼する慰霊碑の写真を掲載しました。

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こちらが、その慰霊碑の写真。今年3月に台北で撮ったものです。

本来はカラーで撮影された画像をグレースケールに直し、原稿に貼り付ける作業を行い、「果たしてエコノミーの製本コースで写真はきれいに印刷されるのか」と心配したりもしましたが、幸いにも、写真が黒く潰れたりすることのない仕上がりとなり、安心しました。

こちらの作品の参考価格は300円。参考価格(suggested price)なので、価格交渉は可能、交渉ご希望の方はお気軽にお申し付けください。
2017.11.17 / Top↑
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先週の後半、およそ7年ぶりにグアムへ行ってきました。

成田からおよそ3時間あまりで行けるこの島は、時間・予算の両面で日本人には行きやすいリゾート地であると同時に、サイパンと並び、日本人には手軽に行けるミクロネシア文化圏の土地でもあります。

50州に属していないために連邦への納税義務はなく、内政において自治が行われてきたとはいえ、その軍事的重要性から長らくアメリカ領であることが強く意識されてきたグアムですが、近年に入り、ミクロネシアのチャモロ文化を復権させようという取り組みが、徐々にではありますが官民で見られつつあります。

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昨年、政府の所在地でもあるハガニアに、議会の議事堂と隣接する形でグアム博物館が開館しました。

現状では、2階建ての館内のうち、展示品が並んでいるのは1階だけという状況ですが、日本や中国、韓国といった東アジア文化とも接点のあるミクロネシア文化に関連して、絵画などを見ることができます。

かつてはスペイン支配を受け、その後アメリカが施政権を獲得したグアムでは、ローカルのチャモロ文化は長らく社会的に周辺化された存在であってきました。しかし20世紀末以降、地名を英語やスペイン語のものからチャモロ語由来のものへ切り替える例が見られたりと、ミクロネシア文化圏土着の要素を見直す動きが少しずつ出てきています。

こうした動きは、無論、マイノリティへの同化政策がもたらした負の結果に向き合い、多文化の共存に向かおうとする20世紀後半以降のアメリカ社会の趨勢に属するものといえます。

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こちらの施設は、去る2月、ボルティモアでの学会発表に際して訪れたワシントンD.C.のアメリカン・インディアン博物館。合衆国がネイティブ・アメリカンの追放、封じ込め、ないし同化政策を行ってきた過去の体制と向き合いつつ、米州に古くから住んできた人々の価値観、誇りの源泉を学ぼうという博物館です。

国民国家の内部を同質化しようとしてきた過去を見直し、社会の多様性を認め合う。今の時代、そうした考えを根本から否定する人はごく少数でしょうし、「彼我の違いに寛容でいよう」という呼びかけには、大半の人が賛同することでしょう。

しかし、価値観の違う人間同士が共存するということは、言い換えれば、それまで同質的な人間同士の間では暗黙のうちに「常識」として通用してきた決まりごとが、異なる「常識」を持つ人々との接触の増加により、通用しなくなることを意味します。アメリカ本土も、グアムも、こうした多様性を認めることの「コスト」にしばしば立ち止まり、考え込み、場合によっては悩んでいるところがあります。

多文化社会をめぐるこうした現実をきちんと理解できている人が、日本にどれだけいるか。ここ数ヶ月、国内外で様々な人と会う中で、そういった懸念を耳にする機会が何度もありました。

文化的に異質な人々との接触の増加は、自ずと「非明示的な決まりごとは一切他人に通用せず、他人を規則で縛るのであれば、その規則は全て文字に起こさなければならない」という行動様式を社会のメンバーに要求し、そして「それを施行しなければ具体的かつ明らかな損害・損失を生むという場合でない限り、規則で他人を拘束してはいけない」という基準を強いることになります。

一見緩やかそうに見えて、しかし韓国や中国と比べても非明示的、かつ「それがなければ明らかな害悪が生じる」という根拠の薄い決まりごとにがんじがらめにされている日本が、そうした多文化共存社会のルールから程遠いところにあるという点は、国外で仕事をしたり、非日本人と一緒に仕事をする中で、私もしばしば感じます。

「日本という国は、百貨店ならまだしも、コンビニの店員が暇な時にスマホのメール操作をやっているだけで『不真面目だ』と客が怒り出す国。その店員が顧客の購入商品を壊したわけでも、つり銭を詐取した訳でもないのに…。この国がそうした点を改めないまま、いずれ人口減が深刻化し、外国人労働者に大きく依存しなければならなくなったら、欧米とは比較にならないくらいの差別や排斥運動が起こるかもしれない」

そう懸念する声も耳にしたことがあります。

無論、人間という生き物は大方したたかですから、社会の構造が変化し、従来の不文律的な常識が通用しなくなれば、(決して批判的な意味ではなく、むしろ良い意味で)しれっと自分の中の価値基準を書き換え、新たな社会環境に適応していくことでしょう。

ただ、そうした環境への適応は、より早い段階で、よりスムーズに進めていくのが賢明というもの。その意味で、日本の人たちは、「多様性を認め合う」ということが、「異質な価値観と恒常的に触れ合うフラストレーションを乗り越えなければならない」ことを前提にしている点、これまで以上に意識していいのかもしれない…久方ぶりに訪れた常夏の島で、様々な肌の色を持ち、様々な訛りの英語を話す人たちと話しながら、ふと、そんなことを感じました。
2017.11.13 / Top↑
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昨日までの1週間、勤務先が学祭のため休講になるのを利用し、エアアジアでホノルルへ行ってきました。

学部生の頃から旅行や仕事で何度も渡航しているアメリカですが、これまでに私が訪れたのは、ほぼ東海岸のみ。ハワイ訪問は、今回が初めてとなりました。

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ホノルル到着後は、ホテルへ向かうよりも前に、まず真珠湾へ直行。以前より行ってみたいと思っており、今回ホノルル行きのチケットをとったのも、ここへ行きたかったからと言っても過言ではない場所·アリゾナ記念館へ。日本軍による真珠湾攻撃で沈んだ戦艦アリゾナが、1100人余りの乗組員の魂と共に眠る場所です。

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逆光で見えにくいですが、湾内には、アリゾナ記念館に隣接する形で戦艦ミズーリも係留されています。言わずと知れた、1945年8月に日本の降伏文書調印が行われた船です。

政治学を専門とする日本人として、日米開戦を象徴する場所を訪れ、また戦後日本の出発点となった船を見たことは、「感慨深い」という表現では足りない、「感無量」とも形容できる経験となりました。

さて、私の訪問に先立つこと数時間、大変著名なある人物が、このアリゾナ記念館を訪れ、献花をしました。

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トランプ大統領です。

アジア歴訪の途上でハワイに立ち寄った大統領は、献花の後に海軍を視察した訳ですが、その際、ツイッターに'Remember Pearl Harbor.'と呟いたことが、日本の一部メディアではちょっとした話題になったようです。曰く、「訪日直前にこの一言を呟いた真意は何か」と。

しかし、少なくともこの呟きをめぐっては、彼の真意を詮索する必要などないと言えるでしょう。彼はアメリカ人として、アメリカ人に対し、当然のことを呟いてみせただけです。

即ち、アメリカは日本軍による攻撃を受けて立ち上がり、戦い、そして勝利したのです。70年後の今日から見れば、奇襲攻撃という「屈辱」は、その数年後の「偉大なる勝利」と一体不可分的に思い出されるのであり、必然的にそれは、合衆国の国威を発揚するのです。そこに、かつての敵国·現在の同盟国の存在が介入する余地はありません。

平たく言えば、現在の日米同盟がいかに強化され、両国の友好的関係が強調されようとも、その原点に敗戦国·戦勝国という立場の違いがあることは消すことができないのです。

当然と言えば当然の話です。しかし昨今、中国の軍事力強化を懸念し、これに対して日米同盟を強化しようという、いわゆる現実主義的な国際政治観をとる日本人論者の中に、この点を充分認識できていない人が目立つことも事実です。

リアリズムに立脚するのであれば、まさに「勝てば官軍」の発想を日米同盟の原点にも適用し、日本人として、かつての敗北という「不都合な事実」から逃げてはなりません。そして、この歴史上の事実を直視した上で、なお国際社会における日本独自の貢献を考えていかなければならないのです。私自身は、その先にこそ、自分の生まれ育った国が(マッカーサーが降伏文書調印式で述べ、現憲法にも記されているような)「国際社会において名誉ある、尊厳に満ちた地位を獲得、維持する」道があると常々考えています。

「親米保守」を自認する政治学徒として、今回の真珠湾訪問はそうした自分の政治観を再認識し、見つめなおす機会ともなりました。
2017.11.06 / Top↑