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9月4日から16日まで、公務で2週間ほど韓国に滞在しておりました。

今回の渡航目的は、

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大統領官邸•青瓦台および国会図書館での研究資料収集、並びに

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所属先が同国の私大•延世大学と共同で実施している短期留学プログラムの引率業務。この2つの案件が重なった結果、比較的長期の出張と相成りました。

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延世大学で行われた所属先学生と先方学生の合同セミナーでの一コマ。所属先の教員として、セミナーのconcluding remarksを述べさせていただきました。

この所属先と延世大学との交流事業、私は韓国政治が専門ということもあって昨年、今年と2年連続で従事しているのですが、今年は交流事業中に先方で定例人事異動があり、日本側との交流担当の責任者が交代するという出来事がありました。

韓国は、大統領が交代すると政府の方針が大きく変わる、というお国柄です。民間企業や大学、あるいは教会などでも、社長や学長、牧師といった責任者が交代すると、組織の方針はガラリと変わり、前任者の方針が変更されたり、はたまた前任者までの間に積み重ねられた外部(外国)との交流さえ撤回されることが珍しくありません。中国政治ほどでないにせよ、韓国が「法治主義」よりも「人治主義」に寄った国だということは、韓国と関わる人であれば概ね同意するだろうと思います。

ですから、日韓の間で仕事をしていると、組織としての継続性を重視し、責任者が交代する場合も念入りな引き継ぎが行われる日本の団体が、韓国側の人事異動に振り回されるという場面をしばしば目にします。この現象、アメリカで大統領が交代するたび、日本政府が新大統領の対日政策に過敏になるのに似ています。

大変幸いなことに、今回は先方の新たな責任者が「日本の大学とは、是非とも交流を強化したい」という熱意の持ち主であり、私も非常に円滑に仕事を進めることができました。しかし過去、本件とは別に日韓の間で仕事をした際は、両国の間に横たわる組織文化の違いを日本側が受け入れられず、「韓国の組織は無責任だ。人事異動に際してまともな引き継ぎをしない」と不満を漏らす場面にも直面したものです。

ただ、上述したようにボスのトップダウンで物事を決める韓国の側からすれば、組織としての継続性が過剰に強調される日本との国際交流は、しばしば「意思決定が遅い」「責任者の顔が見えない」「責任の所在が曖昧な」交渉を要し、苛立ちを誘うところがあります。

一言で言えば、それほど「国際交流には異文化な者同士、軋轢がついて回る」ということになります。しかし、そのように互いの差異を頻繁に経験するからこそ、組織を巻き込んだ国際交流は、そこに関わる人間の個人的魅力が大きくものを言うのです。

教養、決断力、行動力、社交性、或いは誠実さ。交渉当事者が、国境を跨いで評価されるこれら要素を持ち合わせているか否か…。この点ゆえに国際交流事業の成否が分かれるという場面を、私はこれまでしばしば目にしてきました。国家間の複雑かつ大規模な外交交渉が、時に大統領・首相といった首脳同士の信頼関係に左右されるのも、この延長線上にあるといえます。

日本社会で生きていく上では、今なお「あいつは付き合いがいい」などといった、同質的なコミュニティへの順応度で人を評価する場面が少なくありません。それを完全に否定することはしませんが、しかし世界には、それとは全く異なる次元で人が評価される場面が無数に存在します。今回の韓国での短期プログラムに加わり、私の仕事を至近距離から見ていた学生たちが、そのことを少しでも理解してくれれば、と願っています。
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2018.09.21 / Top↑