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昨日、新宿近くの新国立劇場で同劇場バレエ団の公演「白鳥の湖」を鑑賞してきました。

バレエ作品の王道ともいうべき「白鳥の湖」には、ハッピーとアンハッピー、2種類のエンディングがあり、今回の公演で採用されたエンディングは王子がオデットと無事に結ばれるハッピーエンド。

正直なところ、劇場入口で渡されたあらすじとキャスト一覧表を見た時は「ふーん、今回はハッピーエンドなんだ」ぐらいに思っていたのですが…いざ開演し、最終幕まで来ると、舞台上の世界へと完全に引き込まれてしまいました。

舞台芸術にしても、長編小説にしても、本当に完成度の高い作品とは、オーディエンスを話の世界へと引き込んでいくもの。演目が王道中の王道というべきものであっただけに、今回は、我が国最高水準のバレエ団の真骨頂を目にする素晴らしい機会となりました。

前置きが長くなりました。先日開催された即売会・第4回福岡ポエイチで購入もしくは頂いた作品の感想を、以下に記していきたいと思います。


夏野雨『みずのうつわ』

ポエイチ参加者にとってはお馴染み、同イベントのコーディネーターである夏野雨さんの詩集です。

夏野さんの詩や小説は、日常の風景をソフトタッチな言葉を紡ぐことで巧みに描き出しているのが特徴。柔らかな言葉を厳選し、それを紡ぐものなので、読み終えた後に浮揚感に浸れます。上述したバレエと同じで、読み手を作品の世界に招き入れるんですね。

決して長くはない、むしろ短い言葉を読み進める中で、作品の世界にすんなりと入っていってしまうところに、作者がいかに言葉を厳選しているかが伺えます。

私が気に入ったのは、前半に収録されている「ささごと」。

誕生日の真夜中に、弟と父から電話がかかってきて、「誕生日おめでとう」などとは決して言わないのだけど、ちょっとしておふざけのやりとりをするうち、コミュニケートができてしまうというもの。

柔らかな言葉を紡ぐものでありながら(むしろ、柔らかな言葉で紡がれるがゆえ)、日本人男性の言動にしばしば付きまとう「幼稚さ」も浮き彫りにしてしまうところもある。そんな秀逸な作品です。


岸かの子『五行歌てとしゃん その弐』

昨年の第3回ポエイチでお隣さんだった岸かの子さんの五行歌集。

昨年岸さんから教えて頂いたところでは「五行歌=五行で綴られた、一息に読める程度の長さを目安とした歌」であったと記憶しています。

今回の作品集『その弐』は、亡き母親を巡る思いを、娘の観点から綴った歌を中心に、5作品を収録したもの。

いずれも、切なさを感じる間もなく時間が経過し、かつては「育てられていた身」が「育てる身」へと移っていく過程を感じさせる作品です。読み終えた後は、しばし感傷的な余韻に浸れます。

個人的に気に入ったのは「白衣を着た金木犀」。庭先(?)の金木犀に「おかえり」と迎えられていた子供の視点から始まるも、綴り手が巧みに言葉を操り、それを回顧する視点へとシフトしていきます。そして、今度は自分が「おかえり」と言う立場になるまでを、幾分かの苦みを含んだ描写を織り交ぜながらまとめ上げていきます。


今回のポエイチでは、これら以外にもたくさんの作品を購入しました。

現時点ではそれらをじっくりと読むに至っていないのですが、今月末から来月初頭にかけて東南アジア訪問を予定しており、その際に未読の作品を「旅のお供」として携行するつもりです。(ちなみに、エンターテイメント・サービスがないLCC機内での時間を読書に充てると、恐ろしいほどに本を読み進めることができます)

そういった事情のため、しばし時間を空けてしまうことにはなりますが、ポエイチで購入した作品については、上記2つ以外のものも、今後、感想をブログに書いていきたいと思っております。
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2015.06.15 / Top↑
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