FC2ブログ
昨日、フィリピン・マニラにあるアメリカ軍墓地を訪問しました。

20150629051031048.jpg

第二次世界大戦のフィリピン地上戦で亡くなったアメリカ軍兵士、およびフィリピン軍属が眠る墓地です。

実は、マニラが位置するルソン島は、大戦中に私の祖父が日本軍兵士として赴いた土地。話し下手な性格だったこともあってか、祖父は孫である私に出征先でのことを詳しく語らぬまま世を去りましたが、この墓地に眠る兵士の中には、祖父と戦った人々も含まれているかもしれません。

70年前の当地に思いを馳せつつ、また曲がりなりにもクリスチャンである者として、記念碑の下に設けられた芳名録には、

I pray for all those whom my grandfather, an ex-Japanese soldier in the Philippines, fought.
(かつて、我が祖父が日本軍兵士としてフィリピンで戦った全ての者たちの為に、祈りを捧げる)

と記帳しました。

閑話休題。

今月初めの第4回福岡ポエイチで購入した本のうち、以下2点、感想を記したいと思います。


『文芸同人誌 さきがけ 第4号』さきがけ文学会(Website: http://www.sakigake.in/)

福岡出身の社会人によって構成・運営されている文芸サークル『さきがけ文学会』が発行する、詩や短歌、小説などの作品集。以前発行された分も含め、この『さきがけ』は4号全て購入し、読ませていただいております。

さきがけ文学会さんが出される作品集は、この種の同人誌が陥りがちな「没個性化」を上手く回避しているのがポイント。

同郷の者同士、或いは同じ学校の出身者同士で組むサークルが同人誌や論文集を出すと、よほど明確なテーマ設定をしない限り、「書き手たちのバックグラウンドには特徴があるが、作品集自体には個性がない」ということになりがちです。それ故、個々の作品に面白いものがあっても、それが雑然とした全体の構成の中に埋没してしまい、読み手の記憶に残らない。こうした点が原因で、なかなかリピーターがつかないサークルも多いと聞きます。私自身、学部生の頃、サークル(ちなみに私は「政治研究会」に所属していました)機関誌の編集長をやっていて、似たような課題に直面していました。きちんと査読をせず、適当に原稿を集めていると、ジャンクばかりを寄せ集めた論文集になってしまう…。

この点、さきがけ文学会さんの作品集は、「短歌しりとり」や「発想練習」などで、書き手が創作を楽しみつつ、読み手をきちんと楽しませる作りになっています。特に、「風が吹けば〜桶屋が儲かる」の「〜」の部分を独自に捻ってみる「発想練習」は、毎回楽しく読ませていただいています。

加えて、転勤や育児といった書き手の日常が、エッセイなどの形で作品中に取り込まれているのも、読み手に面白いと思わせてくれるポイントです。後半に掲載されている育児エッセイは、ここ数年、育児に悪戦苦闘する友人を間近で見てきたこともあり、読んでいて思わず笑ってしまいました。

社会人として各地で活躍しながら創作を続けることは大変でしょうが、今後とも無理のない範囲で活動を続けていただければと思います。


大地柳子『不器用者達の恋愛事情①』白山荘

防衛隊(≒自衛隊)を舞台として、題名通りそこに所属する隊員達の恋愛事情を描いた長編。今回のポエイチでは、その第1巻が頒布されていました。

軍隊という会社社会から隔離された、しかし他方で独自の社会を成している場において、どのような人間関係やドラマが展開されるのかは、物語の書き手としては非常に興味のあるところです。とりわけ、現代の日本で暮らしていると、軍人や自衛官の経験者と親密になることが少ないため、そうした興味は一層引き立てられるのかもしれません。

即売会界隈における軍人を描いた小説といえば、何と言っても大和雪原の神風零さんが書かれた『桜花』シリーズが傑作ですが、自衛官経験者の著者による『桜花』が軍人を描くことを主目的としているのに対し、こちらは自衛官向け雑誌に掲載されているお見合の案内などを引き合いに出しつつ、彼らの男女関係を描くもの。

軍人といえども人間ですから、職場恋愛もするし、結婚もします。ただ、いかんせん、軍隊という組織はお世辞にも職場恋愛に向いた場ではないし、また彼ら軍人は、決して恋愛慣れしているとは言えない人々。そんな中で男女の関係がどう生まれていくのか…。今回頒布されていた第1巻は話のイントロというべきパートであり、具体的展開は第2巻以降に持ち越されているので、現時点で断定的な評価はできませんが、テーマとしては面白く、可能性が多分にあるといえるでしょう。

個人的には、軍隊生活でのエピソードの類いは、韓国留学中に非常によく聞かされたところもあるので、それらエピソードとも照らし合わせながら、続編を読んでいきたいと思っています。
スポンサーサイト
2015.06.29 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://takamorijunichiro.blog.fc2.com/tb.php/159-884b6421