17日から22日までの日程で、シンガポールとマレーシアを訪れています。

シンガポールへ来るのは7年ぶり。1965年の建国以来、政府による徹底的な管理の下で急速な発展を遂げたこの国は、

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マリーナ・ベイ・サンズや、

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高層ビル群、マーライオンなど、

景観美においても人工性が貫徹されています。

華人、マレー人、インド系という言葉も宗教も異なる国民を管理し、かくの如き繁栄へつなげていったシンガポール政府の手法は、当然、非常に厳格であってきました。チューイングガムや鳩への餌やり、はたまた公衆トイレの流し忘れにもペナルティが課せられるという罰金大国ぶりにも、それはうかがえます。

上からの統制が厳格なシンガポール。国政選挙でもそれは同じで、この国の国会議員選挙は1990年代以降、大選挙区勝者総取り方式、つまり、「1選挙区の定数が5-6名で、一票でも多く得票した政党が、当該選挙区の議席を独占する」という、アメリカ大統領選挙と同じ制度が取られてきました。いうまでもなく、資金や情報面で圧倒的に有利な与党・人民行動党を必ず勝たせるためであり、事実、これまでこの国の政府は、総選挙のたびに「野党を当選させた選挙区は、ペナルティとして公共事業を後回しにする」と公言してきました。

まして、この国の総選挙は、投票用紙に通し番号が振られているという代物です。

しかし、そんな中でも、2011年と2015年の2回の選挙で立て続けに野党を当選させてきた地区があります。

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アルジュニード。いわゆるゲイラン地区です。

政府公認の赤線地帯でもあるこの地区は、低所得層の住民が多く、いわばエリート主導の国家建設に馴染まない人々が多く住む場所。上述のマリーナ・ベイとは全く異質の土地です。(なお、ゲイラン地区住民の名誉のために断っておきますが、同地区は決してスラム化したり、治安が悪い訳ではありません。むしろ同地区は、バンコクのカオサンやクアラルンプールのチャイナタウンと同じく、手軽な宿が多い場所として旅行客には人気の街です)

この低所得層主体の街は、2011年の選挙で現職外相を含む与党候補を落選させました。そして、当該結果に危機感を覚えた政府が露骨なゲリマンダー(選挙区割の恣意的な変更)を行った2015年選挙でも、同様の民意を示しました。

開発という観点から見れば大成功を収めたシンガポールでさえ、政府のやり方についていけず、Noを突き付ける人々がいる。この国のそうした事実は、社会を束ね、導いていく上で100%の正解などないということを端的に示していると言えるでしょう。
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2016.08.18 / Top↑
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