9月18日に大阪府堺市で開催される第四回文学フリマ大阪まで、あと1週間ほどとなりました。今回の文フリ大阪、高森純一郎のブースは「D-50」となっています。

今年の私は関西に出向くことが多く、去る6月には京都で学会発表を行い、10月には神戸でやはり学会発表を行うことになっています。来週の文フリ大阪への出店とあわせ、今年は関西三都全てを訪れることになりますね。

文フリ大阪での販売作品ですが、先週の文フリ岩手と同じ『大陸と海洋の交差路』、『賢人支配の砂漠』、および『疎遠なる同胞』の3本となっております。このうち今年5月の新作『大陸と海洋の交差路』は、大阪では初頒布となります。


『大陸と海洋の交差路』(2016年作)…頒布価格:500円 (新作)
那覇を訪れた香港の文化人類学者・唐瑞延は、これまで自身の沖縄での研究活動を支えてきてくれた台湾出身の恩人・安麗生の職場を訪ねる。台湾政府の意向を受け、長年台湾と沖縄の交流事業に携わってきた麗生は、定年を迎えたこともあり、所属する政府系機関を退職することになっていた。
長年に渡る学恩に礼を言い、また麗生の日台交流への尽力をねぎらう瑞延。そんな彼に麗生は、「これは回顧録にも書かなかったことなのだけれど…」と、ある秘密を打ち明けた。曰く、台湾人として沖縄との民間交流を深めてきたはずの彼女は、実は沖縄本島で、沖縄県民として生まれたのだという。なぜ、沖縄県民として生まれた人物が、台湾人になったのか。その疑問を抱いた瑞延に、麗生は「台湾疎開のことは、御存知かしら?」と問いかける…。
太平洋戦争末期、1万人を超える沖縄県民が、当時日本領であった台湾へと疎開しました。しかし終戦後、彼らの疎開先は中国国民党の支配下に入り、そして彼らの故郷・沖縄はアメリカ軍の支配下に入ります。疎開先も、そして故郷も「日本」ではなくなった日本人疎開民。やがて彼らは米軍支配下の沖縄へ、すなわち中国からアメリカへ「帰る」ことになります。
戦中から戦後にかけての沖縄を、台湾の視点から描いた作品です。

『賢人支配の砂漠』(2014年作)…頒布価格:300円
東京の大学で教鞭をとっていた在日韓国人三世の経済学者・鄭太植は、『在日』をめぐる左右両翼の論争に嫌気がさす中、中東・ドバイの大学から赴任のオファーを受ける。日本国内に留まることへの疲労感もあってそのオファーに応じた太植だったが、遊牧民の伝統を残すアラビア半島の部族社会は、やがて彼に「支配」をめぐる新たな考えを抱かせるようになる。
昨今の「アラブの春」にもかかわらず、絶対君主制を維持するアラビア半島諸国。その内面に目を向けることで、支配・統治のあり方の多様性を描き出します。

『疎遠なる同胞』(2011年作)…頒布価格:500円
インドシナに派兵された韓国軍によって両親を殺されたベトナム人少女。身の危険を感じた彼女は、当時の南ベトナム首都・サイゴンへと逃れるも、避難先で食いつないでいくため、韓国人従軍記者に雇われ、この記者の下で生活することとなる。やがて、共産軍が南へ侵攻、サイゴン陥落が目前に迫った段階で彼女は…。
外国人の兵士に肉親を殺され、他方同じ国の記者と暮らすことで生き延びた少女の視点から、戦争最末期のベトナムを描き出します。国籍やエスニシティ、或いは国民性といったフィルターを介して世界を見ることの危うさを感じて頂ければ幸いです。


なお、現在私は2017年5月頃の頒布開始を目指し、新作を執筆中です。1997年、中学2年生の初夏に小説を書き始めた私にとって来年は、執筆活動20年という節目の年。文字通りの「中二病」に促されて筆を執った当時は、まさかこれが20年続く趣味になるなどとは思っていませんでしたが…。

10年前の2007年に、自分が執筆10年の節目として描いた作品は、1970年代の国際的に孤立化する台湾を描いた『半島と海峡の狭間で』。来年の新作は、そこからもう10年の蓄積を上乗せしたクオリティのものを出したいと思っております。

御参考までに、物語の概要は以下の通り↓

1979年2月某日の早朝、ベトナム国会常任委員のグエン・フー・アンは党中央筋からの電話を受ける。電話の内容は、「中国の人民解放軍が我が国に侵攻した。国会常任委員会の緊急会議を開くので、大至急、必要な手配をしてほしい」というものだった。4年の戦間期を経て再び訪れた戦火に緊迫するハノイ。

国会議員の召集と議事進行の準備に追われるグエン・フー・アン。そんな中彼は、共産党最高指導部から、秘密裏に「ある指令」を受ける。それは、「第三国で、中国側の高官と接触し、我が国の意思を伝達せよ」というものだった。接触場所とされた第三国はフランス・パリ、かつてアンが遊学した地であった。そして、中国側の高官として挙げられた人物は、そのパリでアンとともに社会主義思想の基礎基本を学んだ同志。

かくしてアンは、若き時期を過ごしたヨーロッパの都市へと再び赴くことになった。そこで会う相手もまた、かつての日々を共に過ごした同志。しかし、数十年前と違い、彼らの肩には、各々の国家の体面という重荷がのしかかっていた…。


本作品は中越戦争とフランスのインドシナ支配を物語の背景とし、私の小説としては初めてヨーロッパ(パリおよびモスクワ)を主たる舞台としたものになります。

現在は9万字あまりが書けた状態。来年初夏の刊行予定時期まで、あと半年以上ありますが、覚えておいていただけますと幸いです。
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2016.09.10 / Top↑
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