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6月15日から17日まで香港大学で開かれていた国際会議'The Pacific Century?'に出席するため、香港を訪れておりました。上の写真は、ビクトリア・ハーバーから眺めた香港島の夜景。9年前の香港初訪問以来、私はこの夜景を心から気に入っており、拙作の中でも、『帰るべき国』や『疎遠なる同胞』の終盤でこの光景を描写してきました。

私にとっては昨年5月以来、通算5回目となる香港訪問。同地訪問の度に見ているこの夜景ですが、未だに飽きることがありません。

英領時代は「政治のない都市」とも言われた香港ですが、初訪問が2008年6月と中国への返還後であり、かつ政治学研究を生業にしている私にとってこの都市は、

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行政長官直接選挙制の導入を要求する学生らによる路上占拠運動(2014年)や、

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6月4日にビクトリア•パークで開かれる天安門事件の追悼集会(2015年)や、

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天安門事件の犠牲者を追悼する記念館での学生らとの対話(2016年)など、韓国以上に政治の「現場」を見聞する場所であってきました。

今回も、国際会議の会場となった香港大学で、学生会が、キャリー・ラム氏の当選した先の行政長官選挙について、その「官製選挙」ぶりを非難している場面を目にしました。

私は、理想主義的な学生運動を無条件に支持する立場ではなく、むしろ進歩的・理想主義的な物の味方には懐疑的な人間です。韓国・高麗大学に留学していた時も、同国屈指の左派系団体である高麗大学生会には加入していませんでした。

しかし、どれほど自分の目に懐疑的に映る意見であっても、それを主張する権利は尊重されなければなりません。

間もなく中国への返還から20周年を迎える香港。これからもこの都市が繁栄し、そして自由であることを願っています。

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さて、今回の国際会議、私も発表を行ったのですが、その内容は自分自身の最新の研究成果を提示するものではなく、一昨年書いた博士論文で詰めきれなかった部分、いわば「取りこぼし」を回収することを主目的にしたものでした(現在の最新の研究成果は、今週末にソウルで発表する予定です)。

ただ、出席者の関心は、その「取りこぼし」部分よりも、博論本体に対して向けられており、去る2月にボルティモアの会議でも頂いた意見=博論の英訳版の執筆、発表に、そろそろ本気で取り組む必要があると感じた次第です。

もとより、私は学部生の頃から一貫して「政府の強力な産業政策で経済成長を実現した日韓から、後発の途上国に対する含意を導出する」という問題意識を根底に据えて研究をやっている立場にあります。未熟な研究であるとはいえ、その結果に対して現在の途上国、すなわち日本国外から関心を寄せてくれる人がいるのなら、そうした人々の関心に答えるべく努めなければならないのでしょう。

今回の香港訪問に先立ち、所属先の大学から、私の今年度の研究計画について「若手研究」という学内コンペに基づく資金が拠出される旨、通知を受けました。多額の研究費用を支援して頂けるという立場にあって、これまで以上に責任意識を感じるところもあります。

読み手の需要に、書き手として何を供給するのかという点は、小説を書いている時もしばしば気にする点なのですが、今回の香港滞在は、これからの自分が、その点に一層センシティブになるべきと感じる機会となりました。
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2017.06.19 / Top↑
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