FC2ブログ
私の勤務先である明治大学は、数年前から高校・大学連携プログラムの一環として、付属高校の生徒さんに学部の講義を聴講してもらい、「大学の授業とはどういうものなのか」を高校在学中に知っておいてもらう、という取り組みを行っています。

去る6月、私が経営学部で担当している「政治学」の授業にも、付属高校の生徒さんがいらしたのですが、先日、この私の授業を聴講された生徒さんより、聴講の感想を頂きました。

IMG_20180729_235806.jpg

公開書簡ではないので、プライバシーの関係上、全文を公開することはできないのですが、授業内容を丁寧かつ正確にまとめたチャートとともに、「このプログラムで聴講した講義の中で最も分かりやすく、人生において大切な内容だと感じた講義だった」との感想を頂き、恐縮している次第です。

今年度の担当科目の一つである「政治学」では、通算10年以上塾講師を務めた経験を活かし、「高校の政治・経済が『建前的』な説明に終始し、ほとんど触れずじまいに終わる政治の『本音』に触れる」を基本テーマに据えているのですが、この方針が高校生の方にも好意的に受け止めていただけたのであれば、嬉しい限りです。

さて、去る6月に神戸で開かれた国際学会International Conference on the Social Scienceでの研究発表内容をまとめた公式議事録(official proceedings)が、この度、学会主催者団体のオンライン・アーカイブで公開されました。

The Diversity to Reflect Domestic Interests on International Trade Policy: Comparison of FTA Politics in Korea and Japan
https://papers.iafor.org/submission39103/

学会議事録というのは、学会発表の内容を文章化したもので、学術誌に掲載されるような査読付き論文とは区別されるものの、業界用語ではMISCという、広義の学術著作の一種に属するものです(その扱いは、学問分野によって若干の違いがあります)。

今回の著作は、米韓自由貿易協定(FTA)をめぐる韓国農民団体の反対デモ、および環太平洋パートナーシップ協定(TPP)をめぐる日本のJAグループの政治活動を比較分析したものです。

日韓は、対外貿易に依存する経済構造であるともに、国土が山がちであるなど、営農条件の悪い国です。従って両国では、財界が貿易自由化を支持する一方、農業部門がこれに反対する構図をとってきました。

このうち、農民団体と政府のコネクションが弱い韓国では、農民の反FTA運動は主に街頭でのデモによって行われ、そのデモが世論を喚起、政府から農業部門への補償金を約1000億円増額させるなど、政府への圧力として限定的ながらも作用しました。

他方で日本では、農民はJAグループの自民党政権へのコネクションを通じてTPPへの懸念を表明し、その結果、TPP発効初年度の国内農業予算として総額3200億円を確保するなどの「成果」を得ました。

本ペーパーは、このように、異なるロビー活動(=利益追求活動)を行いながらも、類似した活動成果を得た日韓の農政運動に着目することで、ロビー活動を行う政治的経路の多様性を指摘したものです。

昨年5月に刊行された査読付き論文'The Impact of Farmers' Resistance to Trade Liberalization: A Comparative Study on Political Process around FTAs in Korea and Japan'
の成果をさらに発展させたものであり、日韓の農政・政治過程の違いが浮かび上がるとともに、従来西洋諸国で主に発展してきたロビー活動をめぐる諸理論を、アジアでの事例を通じてさらに発展させることを企図しています。

昨年5月に刊行された論文と同様、オンラインで公開され、誰でも読めますので、英語を読むことに抵抗がなければ、ぜひご一読いただければと思います。
スポンサーサイト
2018.07.30 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://takamorijunichiro.blog.fc2.com/tb.php/281-489c1696